背中を反ると腰が痛い人は太ももの硬さをとるのが効果的な理由について現役理学療法士が解説します。

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はじめに

腰痛にはさまざまな原因があり、その原因によって対処法も違います。

腰痛というと一見腰に問題がありそうに感じますが、実は腰以外の部位に問題がある場合がとても多いです。

質問する人
質問する人

最近腰痛があるけど思い当たる原因が分からないんだよね。

内臓小僧
内臓小僧

実は腰痛というものは腰以外にも原因があることがあるんだよ。それに腰の動かし方にもポイントがあるんだよ。

私の職場にも腰痛の方はとても多くお見えになりますが、その中でもよく症状として多いのが『背中を後ろに反ったとき』に生じる腰痛です。

この後ろに反る動きは日常生活ではあまりない動きのように感じますが、実は気付かないうちにこのような動きは日常生活の中で良く行っている動きになります。

そのため、いざ背中を後ろに反らそうと思ったときに腰痛があってその動作ができなくなると

前かがみになった後に身体を起こすのがつらい

背伸びができない

立った姿勢で背中が伸ばせない

といった症状がでやすくなります。

そこで今回は背中を後ろに反らせたときに腰痛に影響するポイントについてお伝えしたいと思います。

背中を反ったときの腰痛の原因ってそもそも何

反ったときに腰が痛くなる原因としてよくいわれているのがこちらになります。

脊柱管狭窄症

椎間関節症

仙腸関節症

腰椎分離症

腰椎すべり症

筋・筋膜性による腰痛

この中で実際にレントゲンやMRIを撮り骨関節や神経由来の原因が見つかるのは全体の15%しかないといわれております。

そして残りの85%の確定診断ができない腰痛の原因として最も可能性が高いのが筋・筋膜性の腰痛といわれております。

そのため、反ったときに腰に負担のかかりやすいポイントの筋肉を知っておくことで腰痛の軽減が期待できます。

他にも腰痛に関する記事についてまとめてありますので興味のある方はぜひご覧ください。

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このような腰痛には注意

腰痛の原因として筋・筋膜性の腰痛が多いといいましたが、注意が必要な腰痛の特徴についてしっかりと把握しておくことも大切です。ポイントとしては以下の2つになります。

腰痛の出方

痛みの範囲

痛みが急に出現した場合

まず腰痛の出方として何か重たいものを持った時などきっかけがあり、急に痛みが出現した場合は腰部のどこかが損傷もしくは炎症している可能性が高いです。

そのようなときはまずは無理に患部を動かさずに安静にすることが大切です。

安静時もずっと痛い場合

筋・筋膜性の腰痛は基本的に身体を動かした際に腰痛を生じることが多いです。しかし、安静時もずっと腰が痛い場合は腰部のどこかに重篤な疾患が隠れている可能性があります。

このような場合はすぐに医療機関に受診することをお勧めします。

腰から足にかけて痛む・しびれる場合

このように広い範囲で痛みやしびれを生じる場合は脊髄や末梢神経由来の障害が考えられます

このような場合も一度医療機関に受診することをお勧めします。

背中を反るのに大切な3つのポイント

背中を反ったときに大切になるのが腰椎・骨盤・股関節の3つが協調的にしっかりと動くかということです。実際の反った姿勢でみるポイントは次の3つになります。

背骨一つ一つの伸び

骨盤の前方シフト

股関節前面(鼠径部)の広がり

この3つのどれかに問題が生じると腰部に負担がかかり結果的に腰痛を引き起こしやすい状態となります。

背中を反ったときに腰に負担をかける4つの筋肉

では腰に負担をかけやす筋肉について説明したいと思います。

1つ目:大腿直筋

この大腿直筋は太ももの前側にある大腿四頭筋の一つであり、この4つの筋肉の中で唯一骨盤に付着する筋肉になります。

この筋肉が硬くなることで骨盤を前傾方向に引っ張ってしまうことで腰椎を過剰に反らせてしまいます。

そのため、背中を反る動きをやろうとするときに腰が初めから反った状態からさらに反ろうとしてしまうため腰椎に負担がかかり腰痛を引き起こしてしまいます。

股関節前面から太ももの前側の硬さのストレッチの方法についてはこちらの記事でも詳しくまとめていますのでぜひご覧ください。

2つ目:腸腰筋

腸腰筋は腰椎、骨盤の内側、大腿骨の内側(小転子)に付着する筋肉です。そのため、この筋肉が硬くなることで股関節(鼠径部)の前面の広がりが少なくなり骨盤の前方移動を阻害する要因となります。

3つ目:大腿筋膜張筋

大腿筋膜張筋の特徴は股関節が内旋(内側に捻じれる)していると緊張が高くなるという点です。

そしてこの大腿筋膜張筋が硬くなることで股関節の外旋が減少し股関節前面の広がりを阻害する要因となります。

また、大腿筋膜張筋は骨盤の一部に付着するためこの筋肉が硬くなることで骨盤の動きにも影響を与えてしまいます。

4つ目:脊柱起立筋

脊柱起立筋群は背骨に付着する筋肉になります。

この筋肉が硬くなることで背骨を過剰に反らせてしまいます。

すると、背中を反る動きをやろうとするときに背骨が初めから反った状態からさらに反ろうとしてしまうため腰椎に負担がかかり腰痛を引き起こしてしまいます。

どの部位が硬いのか確認する

骨盤内・股関節の硬さ

骨盤内が硬くなると骨盤の一部である左右のASISの距離が短くなります。すると、骨盤の前方シフトの際に骨盤の前側がしっかりと開かず背中を反る動きを制限する原因となります。

そのため、骨盤の開きがしっかりあるのかを確認する必要があります。

仰向けの状態で膝を立て両膝を外側に開いていきます。

開いた膝の角度に左右差がある

鼠径部や内ももに張り感を感じる

腰が過剰に反ってしまう

身体が捻じれてきてしまう

このような症状がある方は骨盤と股関節の開きが硬くなっている可能性があります

脊柱起立筋群の硬さ

脊柱起立筋に硬さが生じると腰椎の丸みをきれいに作ることができなくなります。そして脊柱起立筋が硬くなることで腰椎一つ一つの伸びを制限する要因となります。

正座の状態からお尻と踵を付けたまま手を床に付けるのかを確認します。

床に手がつかない

腰に張り感がある

腰の丸みがない

このような症状がみられるときは脊柱起立筋が硬くなっているサインになります

下半身の硬さ

下半身の中で特に股関節前面や大腿前面に硬さが生じると上体を反らしたときの股関節前面の開きを制限する要因となります。

今から紹介する腸腰筋・大腿直筋・大腿筋膜張筋の硬さがないか確認してみましょう。

腸腰筋の硬さ:トーマステスト

仰向けの状態で片方の膝を抱え込みます。

このとき伸ばしている側の膝が曲がってきた場合腸腰筋が硬くなっているサインになります

大腿直筋の硬さ:エリーテスト

うつ伏せの状態で膝を曲げていきます。

このとき同側のお尻が浮き上がりがみられる場合大腿直筋が硬くなっているサインになります。

大腿筋膜張筋の硬さ:オーバーテスト

横向きの状態から上側の足は膝を90度曲げた状態でやや身体より後方へ、下側の足は少し曲げた状態にします。

この状態で上側の足が地面に向かって下がらない場合大腿筋膜張筋が硬くなっているサインになります。

腰部の負担を減らすためのストレッチ方法

鼠径部を開くストレッチ

◇やり方
仰向けの状態で膝を立て、左右に膝を開きます。このときしっかりと股関節の付け根から足を開くように意識することでより鼠径部の開きを引き出すことができます。

◇時間
30秒から60秒

腸腰筋のストレッチ

◇やり方
片側の足を前に出し、もう片側の足を後方に伸ばします。この姿勢で骨盤を下に引き下げるようにすることで後方に伸ばした側の腸腰筋をストレッチすることができます。

◇時間
30秒から60秒

大腿直筋のストレッチ

◇やり方
片側の足を伸ばし、片側の足を曲げた姿勢になります。この状態でゆっくりと上体を後方に反らしていくことで大腿直筋をストレッチすることができます。

◇時間
30秒から60秒

大腿筋膜張筋のストレッチ

◇やり方
うつ伏せの状態で伸ばしたい側の足を対側の斜め後方へと伸ばしていくことで大腿筋膜張筋をストレッチすることができます。

◇時間
30秒から60秒

脊柱起立筋のストレッチ

◇やり方
脚を抱え込んだ状態でしっかりと背中を丸くし、背中にある脊柱起立筋を伸ばします。

◇時間
30秒から60秒

最後に

腰痛は意外に下半身の硬さから生じることが多くあります。そのため、いくら腰をマッサージしてもなかなか腰痛が改善しないという方は問題が腰以外にある可能性があります。今回の記事は下半身の硬さを細かくみながら腰痛に対して対処する方法の一部をご紹介しました。しかし、今回ご紹介したものは腰痛の原因になり得る要素のほんの一部にすぎません。

そのため、これからもいろいろな場面での腰痛についてまとめていきたいと思いますので、興味のある方はぜひ今後も引き続きブログを拝見していただけたら幸いです。

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