はじめに
年齢を重ねるごとに気になりやすい部位として最も多いのが下腹です。一度下腹がでてしまうとそれを凹ますのはなかなか大変な作業になります。巷ではいろいろな体幹トレーニングが紹介され、
どのやり方を信じていいのか分からない
自分の身体にあったトレーニング方法はなんなのか知りたい
体幹トレーニングをしていたら違う部位が筋肉痛になった
など悩みは人それぞれ違うと思います。
お腹を凹ますためにはただやみくもに腹筋運動ばかりやってもかえって腰などを痛めてしまったり、姿勢が崩れてしまうといった問題も生じる可能性があります。
そこで今回は自宅でも簡単にできるお腹を凹ます自重トレーニングのやり方についてお伝えしたいと思います。
お腹にある筋肉
お腹にはいくつかの筋肉が存在します。
みなさんが良く知っている筋肉は腹直筋、腹斜筋(外腹斜筋、内腹斜筋)、腹横筋という筋肉だと思います。
これらのお腹にある筋肉は3つの階層に分かれます。
深層筋(ローカルスタビライザー)
まず一つ目が腹横筋です。
ローカルスタビライザーの特徴としては
- 身体の深層部、運動軸に近接している
- 単関節に付着する
- 筋肉は主にTypeⅠ筋線維
- 最も高い固有感覚受容性をもつ
- 持続的な収縮力を発揮するのが得意
- 負荷に対して身体の安定性を高める
- 身体を動かす前に予測的に反応し収縮する
などの特徴があります。
簡単に言うと持続的に身体の軸を安定させる縁の下の力持ちのような役割があります。
中間層(グローバルスタビライザー)
二つ目が腹斜筋群(内腹斜筋、外腹斜筋)です。
グローバルスタビライザーの特徴としては
- 筋肉は主にTypeⅡa筋線維
- 深層または浅層に位置する
- インナーとアウターレンジのコントロールをする
- 深層筋ほどではないが高い固有感覚受容性をもつ
などの役割があります。
簡単に言うとローカルスタビライザーとグローバルモビライザー相互の補助をしながら身体を安定させる万能な筋肉になります。
浅層筋(グローバルモビライザー)
三つ目が腹直筋です。
グローバルモビライザーの特徴としては
- 筋肉は主にTypeⅡb筋線維
- もっとも浅層にある
- 複数の関節に付着し、複数の機能を持つ(隣接関節を統合)
- 動力の産生に関与する
- 大きな力を発揮するのが得意
- 速い速度を生み出すのが得意
などの特徴があります。
簡単に言うと何か物を持つ時など瞬間的に強い力を発揮したいときに作用する筋肉になります。
お腹にはマシンより自重トレーニングがおすすめ
自重トレーニングとはマシンのような機械を使わずに自身の身体を使って行うトレーニングのことを言います。この自重トレーニングのメリットとしては
- 自身で負荷量を調整できる
- どこでも簡単にできる
- 特別な器具がいらない
- 怪我をするリスクが少ない
- お金がかからない
といったメリットがあります。また、仕事をしていてなかなかジムに行く時間がないという方でも家の中でこっそり一人で行うこともできるため、やる気させあれば誰でも簡単に始めることができます。
お腹を凹ますとは
この腹圧に最も関係するのがお腹の深層部にある腹横筋になります。腹横筋はインナーマッスルの一つでもあり、腹腔内のスペースの内圧を高める作用があります。
そしてこのインナーマッスルをしっかりと働かせるためのコツはずばり呼吸になります。私が普段クライアントに指導する際は下部肋骨の動きをしっかりと意識しながら呼吸運動の練習から始めます。
お腹の凹みを作る肋骨の動き
肋骨は呼吸によって前後左右に動きを伴います。
主に息を吸ったときは上部肋骨が上方へ、下部肋骨が外側へ開くように動きます。息を吐くときは上部肋骨が下方へ、下部肋骨が内側へ閉じるように動きを伴います。
この動きがしっかりとあることによってインナーマッスルが最大限に活動し、お腹を凹ます準備が整います。
肋骨の動きに関してはこちらの記事に詳しくのっていますのでぜひこちらの記事もご覧ください。
お腹の凹みを作りやすい関節の位置
それでは家でもできるお腹を凹ますための自重トレーニングの前にインナーマッスルが機能しやすい身体の位置から作る練習をしましょう。インナーマッスルが機能しやすい身体の位置をニュートラルポジションといいます。
このニュートラルポジションを作るうえで大切になるのが
脊柱のS字カーブ
骨盤の位置
の2つになります。
骨盤のニュートラルポジションを確かめるためには以下のポイントを確認します。
仰向けに寝た時に腰に手のひら一枚分の隙間が空いている
骨盤の一部であるASISと恥骨を結んだ面が地面と平行になっている
この2つがしっかりとできていると腹圧が高まりやすい関節の位置がしっかりとできていることでお腹が凹む準備がしっかりとできた状態となります。
この関節の位置でしっかりと肋骨の動きを意識した呼吸を行うことで腹圧が最大限に高まり、お腹が凹みやすくなります。
骨盤のニュートラルポジションについてはこちらの記事にくわしくまとめてありますのでぜひご覧ください。
お腹を凹ますためのストレッチ
こちらのストレッチはお腹を凹ますために大切になる胸郭と骨盤の可動域を引き出すためのものになります。ぜひトレーニングの前にしっかりとこのストレッチをやって胸郭と骨盤の動きを良くしておきましょう。
マーメイド
胡坐の状態で片側の手は地面につき、片側の手は対側に伸ばしながら脇腹を伸ばしていきます。このストレッチによって胸郭の横側の開きを促し、脊柱の柔軟性を高めることができます。
またこの状態でそのまま身体を斜め前方へ倒していきます。そうすることで胸郭の回旋方向の動きを促しながら脊柱の柔軟性を高めることができます。
ペルビッククロック
膝を立て仰向けの姿勢になります。この状態で骨盤を上下左右に細かく動かすことでインナーマッスルの作用しやすい骨盤ニュートラルポジションの意識を高めることができます。
キャットカウ
四つ這いの状態で骨盤を後傾させながら背骨を丸くします。
次に骨盤を前傾しながら背骨を反るようにします。
このエクササイズを行うことで骨盤・脊柱の協調性を高めることができます。
お腹を凹ますための自重トレーニング
呼吸運動
まず自重トレーニングの前に息をしっかりと吐き胸郭を引き締め体幹を安定させます。この意識をトレーニングの前に行うことでローカルスタビライザー(深層筋)が機能しやすくなります。
スパインツイスト
まず仰向けの状態で両足を持ち上げます。このとき腰が反ってしまわないようにしっかりと背中から腰を地面に付けた状態を維持します。
次に右に足を倒しながら伸ばしていきます。このとき肩甲骨が地面から離れない位置まで足を倒すように意識をします。
足を一度曲げながら中心へと戻し、反対側も同様に行います。
この運動を左右10回ずつ行います。この運動によって体幹の前面から側面にかけての安定性を高めることができます。
シザース
仰向けの状態で頭を持ち上げ、太ももの裏に手を添えながら足を天井に向かって伸ばします。このときしっかりと地面に腰を付け、腰が反らないように意識をします。
片側の足を天井に伸ばし、もう片側の足を床と平行な位置まで下げていきます。そうしたら、天井に伸ばす側の太ももの裏を持ち交互に足を入れ替えていきます。回数としては左右10回ずつを目標に頑張ってみましょう。この運動を行うことで体幹の前面から側面の安定性を高めることができます。
クリスクロス
仰向けの状態で上体を持ち上げ頭の後ろを手で支えます。
次に片側の膝を身体に引き寄せ、もう片側の足を伸ばします。身体に引き寄せた足に向かって身体を捻じります。この動きを左右交互に繰り返し行います。回数としては左右10回ずつをまずは頑張ってみましょう。この運動も体幹の前面から側面の安定性を高めるのにとても良い運動になります。
ロールオーバー
まず仰向けの状態で両足を持ち上げ斜め45度に足を伸ばします。この時腰が反らないように注意しましょう。
次に下腹部の力を使って骨盤を後傾させ足を頭側へ引き寄せていきます。このとき足の勢いを使わずしっかりと下腹部の力を使うように意識します。
次は下腹部の力を維持しながらゆっくりと足を天井の方にもどしていきます。このとき地面から離れている背中の上側からゆっくりと地面についていくように意識をすることでお腹により良い刺激が入ります。回数としてはまずは10回を目標に行ってみましょう。
ニードル
仰向けの状態で両足を天井へと伸ばし頭を持ち上げます。
次に指先と足先を天井に向かって伸ばしていき上体をさらに地面から持ち上げていきます。このときお腹をしっかりと縮め、背中の接地面ができるだけ少なくなるように意識することで腹部により効いてきます。
ロールオーバーの延長でそのままニードルに移行するととてもお腹に効いてきますのでぜひ頑張りましょう。この運動もまずは10回を目標に行ってみましょう。
最後に
皆さんいかがでしたか。お腹を凹ますためにはただ闇雲にトレーニングをしてもうまくいかないことが多いです。
見た目は同じトレーニングをしていても意識するポイントや適切な関節の位置を知っておくことでよりお腹に良い刺激を与えることができます
今回の記事を読んで少しでもお腹の筋肉の特性や体幹を鍛えるための方法についての知識が深まったなら幸いです。
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