はじめに
慢性的に腰痛を自覚されている方は現代においてとても増えてきております。その中には脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、筋膜性腰痛、坐骨神経痛と原因はとても多く存在します。
原因が違えば対処法も変わってくるため、やみくもにテレビなどをみて腰痛体操を真似しても、なかなか良くならなかった経験をされた方はとても多いと思います。
今回は数ある腰痛の中でも仙腸関節という部位に痛みがある場合の対処法についてお伝えしたいと思います。もしあなたの腰痛が
このような感覚がある方はもしかして仙腸関節由来の痛みの可能性がありますので、ぜひこの記事を読んでいただけたらと思います。
そこで、今回は仙腸関節性の腰痛についてお話ししたいと思います。
仙腸関節とは
仙腸関節とは骨盤の一部でもある腸骨と背骨の土台となる仙骨との間にできる関節の部分を指します。
仙腸関節由来の腰痛はいろいろなタイプがある
仙腸関節は上記でも説明したように骨盤と仙骨のつなぎ目の関節になります。そのため、この関節の動きが何かしらの原因によって崩れてしまうと痛みを伴いやすくなります。
仙腸関節由来の疼痛には
仙腸関節が締まり過ぎている
仙腸関節が緩み過ぎている
の2パターンが存在します。
さらにこの2パターンになる原因がいくつも存在するため、なかなか自身の仙腸関節の状態に合ったエクササイズを選択することが難しくなります。
今回はたくさんある原因の中でも『仙腸関節が締まりすぎている』パターンに着目してお伝えしたいと思います。
仙腸関節が締まるとはどういう状態?
仙骨には以下の2つの動きがあります。
・ニューテーション(うなづき)
・カウンターニューテーション(起き上がり)
骨盤を形成する3つの骨を合わせて寛骨(腸骨、恥骨、坐骨)といいます。この寛骨には大きく分けて2つの動きがあります。
・前方回旋
・後方回旋
仙腸関節が締まり過ぎてしまう場合は次のような動きが伴います。
このような状態になると仙腸関節は締まりの形となります。この形は仙腸関節が安定しやすい状態のため、腰部-骨盤帯の安定性を高めるとても大切なポジションになります。
しかし、この状態が過剰になってしまうと、仙腸関節部が締まり過ぎてしまいかえって負担がかかりやすい状態となります。
反対に仙腸関節が緩み過ぎても腰痛を引き起こしやすい原因になります。そのようなことでお困りの方はぜひこちらの記事もご覧ください。
仙腸関節が締まり過ぎてしまう2つの原因
腹部前方位
仙腸関節が締まり過ぎてしまう一つ目の原因は『姿勢』になります。
仙腸関節が締まり過ぎてしまうもっとも多い姿勢に「お腹を前に突き出した立ち方」があります。
このようにお腹を前に突き出した姿勢になると、仙骨と第5腰椎の間で過剰な反りが生じてしまいます。
すると仙骨の前傾が強まった状態となり、仙腸関節の動きに影響を与えてしまいます。
お腹が前に突き出した姿勢がわからないときは立った状態で足元を見てみましょう。足元がしっかり見える方は特に問題ありませんが、もしお腹で足元が隠れてしまうような場合はお腹が前に突き出した立ち方になっています。
お尻が硬い
お尻が硬いといってもいろいろなパターンがあります。今回の仙腸関節が締まりやすい方の特徴は普段からお尻が小さいということを自覚されている方はお尻を締め過ぎている癖がある可能性があります。
このような方は一度立った時に自分のお尻を触ってみましょう。もし、お尻が過剰に硬くなっているようであれば、それが仙腸関節を締め過ぎてしまっている一つの原因になりますので、まずはお尻の力を抜く練習をしてみましょう。
仙腸関節性腰痛は骨盤のねじれが生じることでさらになる可能性が高くなります。そのようなことでお困りの方はぜひこちらの記事もご覧ください。
仙腸関節の締め過ぎを改善する方法
腹部前方位の方
腰部のストレッチ
腰と骨盤の間が縮こまってしまうと骨盤の位置を修正することが難しくなります。そのため、まずは腰をしっかりとストレッチし骨盤を後方にもどすための下準備をします。
■やり方 両足を抱え込むようにして足をお腹に引き寄せてます。このときしっかりと腰部を丸くして骨盤を地面に付けるようにして行います。 ■時間 30秒から40秒
骨盤を後方にもどす練習
骨盤を後方にもどすには下腹部の安定性が必要となります。
1.仰向けになったら背中がしっかりと地面につくように、下腹部に力を入れます。
2.この状態で背中が浮かないようにしながら片側の足を90度持ち上げます。この動きを左右交互に行 います。
3.最後に下腹部が薄い状態をキープしながら両足を持ち上げます。 このとき両足の重さをお腹の力で支えれない方はお腹が上に浮き上がるような反応が出ます。この反応は私が普段臨床で患者をみるときによくみる反応になります。この姿勢をしてもお腹を上に浮き出てこない方は比較的下腹部が安定している方が多いです。
お尻を締め過ぎている
意識的にお尻の力を抜く練習
まずは締めた過ぎたお尻の力を手で外側に伸ばすようにして抜いていきます。
お尻のストレッチ
■やり方 仰向けになり片側の足を胡坐にして反対側の膝に上に乗せます。この状態でゆっくり足を持ち上げ胡坐の形になっている側のお尻をストレッチします。 ■時間 30秒から40秒
仙腸関節の詰まりを軽減するストレッチ
■やり方 仰向けで片側の足を曲げたら対側の手で曲げた側の膝の外側を持ち、ゆっくり対側へ倒していくことで仙腸関節の詰まりを軽減することができます。お尻から大腿外側にストレッチされる感覚が得られているととても良いです。 ■時間 30秒から40秒
最後に
仙腸関節は一度痛みを伴うと長期的に症状が残ってしまう場合があります。そのため、いかにして重症化する前に身体のケアを行うことがとても大切になってきます。今回ご紹介したものは仙腸関節の症状を伴いやすい人の一例になります。このような特徴がみられる方はぜひ試してみてください。
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