長時間座ると仙骨が痛い人へ/仙骨座りを直して腰痛を改善する方法【理学療法士解説】

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【最終更新日:2025年10月14日】

はじめに

長く座っているとお尻の真ん中がじんじん痛い、腰が重だるい・・・

そんな経験はありませんか。

私の職場にはデスクワークをされている方で腰痛に悩まされている方がとても多くいらっしゃいます。

質問する人
質問する人

デスクワークをしていると特に何もしていないのにいつも腰が痛くなるんだよね。

内臓小僧
内臓小僧

それはもしかして座り方に問題があるのかもしれないね。

実はその原因『仙骨座り(骨盤後傾座位)』が影響しているかもしれません。仙骨座りとは骨盤が後ろに傾き、背中が丸まり、仙骨(お尻の中央にある三角形の骨)に直接体重がかかる座り方のことです。

特にデスクワークという仕事は長時間ずっと座っているため仙骨に過剰に負担がかかりやすくなります。

理学療法士として腰痛に悩む多くの患者さんをみてきましたが、仙骨座りを改善するだけで症状が軽くなるケースが少なくありません。

この記事では仙骨座りで痛みが起こる仕組みから正しい座り方、改善エクササイズまでを理学療法士の視点から詳しく解説します。

長時間座るとなぜ腰に悪い

長時間デスクワークなどを行うとその間常に臀部から大腿後面が圧迫された状態になります。すると圧迫された部位が阻血状態となり筋肉やその他軟部組織が硬くなります。

そして組織が硬くなることで骨盤の可動域が低下し腰部に負担がかかりやすくなります。

腰痛についてこちらの記事でもまとめてありますので、ぜひご覧ください。

仙骨座りとは

皆さんは仙骨座りという言葉を聞いたことはありますか。なかなか聞きなれない言葉かもしれませんが、ほとんどの方は座っている姿勢がこの仙骨座りになっていることが多いです。

仙骨座りとは骨盤が後傾し、床面に仙骨が接地した状態の座り方になります。

見た目はやる気のないようなだらっとした座り方の状態をいいます。

この座り方になると地面との接地面が仙骨になるため、仙骨に過度に負担がかかりやすくなります。

仙骨座りで腰痛が起こるメカニズム

仙骨はクッション性が乏しい骨です。長時間圧迫すると皮下組織や靭帯に負担がかかり痛みが出やすくなります。さらに、骨盤後傾姿勢では腰椎の自然なカーブが失われ、椎間板や周囲の筋肉にも過剰なストレスがかかるため、腰痛や坐骨神経痛の原因になることもあります。

また、仙骨の周りにはとても多くの神経が走行しており腰から下半身の神経をコントロールしています。そのため、仙骨に負担がかかると腰部や下半身にさまざまな影響を及ぼしやすくなります。

仙骨から出る神経

仙骨は腰椎の1番下の椎体と連結する脊柱の土台となる三角形の骨です。

またこの仙骨は骨盤の一部でもある腸骨と連結しています。そのため、この仙骨に負担がかかることでその付近にある腰部にも負担がかかりやすくなります。

また腰椎の一部と仙骨からでる大きな神経を仙骨神経叢といいます。神経叢とは神経が集まった塊のようなものを指し、この仙骨神経叢はL4からS3までの領域を支配する神経の塊になります。

そしてこの仙骨神経叢は坐骨神経に分岐しお尻から太ももの裏側、ふくらはぎ、すね、足の裏にかけてを支配しています。

特にお尻にある筋肉の中で大切になるのが梨状筋になります。この梨状筋は臀部の深層部にある筋肉の一つになります。

この梨状筋という筋肉の中を坐骨神経が貫通していくため、この梨状筋の滑走性が低下することによって腰部や下肢に痛みや痺れを引き起こしやすくなります。

正しい座り方になるポイント

正しい座り方というと

  • 見た目がきれい
  • 疲れにくい
  • 長時間でも座っていられる

などいろいろな考えがあると思います。

そこで今回は機能的に正しい座り方になるためのポイントを2つお伝えします。そのポイントは次の2つになります。

・椅子に深く腰掛け両足をしっかりと床に付ける

・骨盤をやや前傾させて坐骨に体重を乗せる

・骨腰や背中が辛い場合は背もたれにタオルやクッションを挟む

・目線はやや遠くを見て顎を軽く引く

このポイントがしっかりとできることによって骨盤の上にくる脊柱のアライメントが整いやすくなり腰部の負担が軽減します。

椅子やクッションの選び方

座面が硬すぎず、骨盤を立てやすい座面がおすすめです。オフィスや車ではランバーサポート(腰当て)や骨盤サポートクッションを使うを安定しやすくなります。

正しい座り方になるためには骨盤の位置がとても大切になります。そして骨盤の正しい位置を覚えるのにおすすめなのが骨盤矯正クッションになります。このアイテムを一つ持っておくだけで日頃の作業効率が大幅に挙がると思います。ですが、自身に合ったクッションが分からないという人はぜひ私がおすすめする骨盤矯正クッションについての記事をご覧ください。

仙骨座り改善のための正しい座り方のコツ

機能的な座り方のコツは骨盤の一部である坐骨という部分が座面にしっかりとつくようにして座ることです。下に示した図は正しい状態で座ったときの重心線を表しています。

通常は臀部・大腿後面・足底が座面と床面に接地しているため、青線で示した部分が支持基底面になります。この支持基底面の中に緑線で示した重心線が収まっている状態の座位姿勢が無理な力が入らずに安定して座れている機能的な座位姿勢となります。

支持基底面:身体の座面や床面に接している部位によって作られる領域のこと。

次に仙骨座りの場合の支持基底面と重心線の関係についてです。この仙骨座りは通常の良い座り方よりも骨盤が後傾した状態の座り方になります。すると臀部や大腿部が前方に滑り、接地面が仙骨優位な状態となります。

仙骨座りになると良い座位姿勢の時よりも支持基底面がやや前方にシフトします。すると重心線が支持基底面内に収まらない状態となるため、姿勢を保つために過度に身体に力が入りやすい状態となります。特にこのような状態の座位姿勢になると腰や臀部に負担がかかりやすくなります。

仙骨には腰から下半身にかけて伸びる神経がたくさん通っています。そのため、仙骨に常に圧が加わることで神経を圧迫し腰から下半身にかけての症状がでやすくなります。

仙骨座りで生じる関節の問題

仙骨座りによって生じる問題には

  • 骨盤の後傾
  • 脊柱のS字カーブ消失

があります。

骨盤後傾

骨盤が後傾し、仙骨座りになることによって臀部や大腿後面にある筋肉の滑走性が低下し坐骨神経痛や腰痛のリスクが高まります。

脊柱のS字カーブ消失

仙骨座りになることによって脊柱のS字カーブが消失し腰椎一つ一つの動きが低下することで腰部に負担がかかりやすくなります。特に腰椎の前弯が減少することで腰椎の間にある椎間板に負担がかかりやすい状態となるため、椎間板ヘルニアなどのリスクが高まります。

仙骨座り改善のための簡単エクササイズ

1.骨盤前後傾トレーニング

椅子に座り、骨盤を前後にゆっくり傾ける動きを10回繰り返します。骨盤を動かす感覚を養い、骨盤が自然に立ちやすくなります。

2.股関節・ハムストリングスの柔軟性アップ

ハムストリングス(太もも裏)が硬いと骨盤が後傾しやすくなります。立った姿勢で軽く前屈し、太もも裏をストレッチすると骨盤が立ちやすくなります。

3.お尻を目覚めさせる運動

仰向けで膝を立てお尻をゆっくり持ち上げるブリッジ運動を10回行います。殿筋がはたらきやすくなり、正しい骨盤位置を保ちやすくなります。

坐骨で座るためのおすすめな椅子

私が紹介する椅子はアーユル・チェアーになります。

こちらの椅子の特徴は座面が通常の椅子と比べて3分の1程しかなく、その座面を跨ぐようにして座ることによって坐骨に体重が乗りやすい状態を作ることができます。

坐骨に体重が乗ることによって骨盤がしっかりと立ち、その上にある脊柱に自然なS字カーブを作り出すことができます。

すると

腰痛やストレートネックの解消

見た目が綺麗な座り方を維持できる

胸が開き呼吸が深まることで集中力を高める

ことができます。

また椅子の形状もコンパクトでとてもおしゃれな物が多く、また仕事だけではなく家でも気軽に使える椅子も数多く取り揃えているため、自分に合った椅子を探すことができます。

ぜひ一度椅子でお困りの方は見ていただけたらと思います。

簡単にできる正しい座り方になるためのシーティング方法

正しい座り方になるポイントは

ポイント
  • 骨盤を立てる
  • 脊柱の生理的な弯曲を引き出す

ことが大切になります。今回はその2つを意識して行う対策についてお伝えしたいと思います。

1.まずタオルを一枚用意します。

2.次にタオルを図のように何回か折りたたみ、高さを作ります。

3.この高さを付けたところに臀部の先が当たるようにタオルを椅子に置きます。

4.高さを付けた部分がお尻の先にくることで後傾した骨盤を前傾方向に誘導することができま
  す。骨盤が前傾ししっかりと立つことで坐骨での支持ができるようになり、腰部の負担を軽減
  することができます。

仙骨座りを解消するためのトレーニング法

仙骨座りを解消するポイントは坐骨で座るということです。また坐骨でしっかりと地面を踏む意識を持つことによって腸腰筋に刺激が入り、骨盤を立たせることができるようになります。

私は普段ピラティスインストラクターとして働いていますが、この坐骨を意識するためにとてもおすすめなマシンがスタビリティチェアです。

こちらの商品はペダルがついており、スプリングというバネでペダルの重さを調整することができます。

そしてこのペダルを足や手で押すことによってペダルが上下に動き身体に負荷を与えることができます。

スタビリティチェアを使った仙骨座りを解消するエクササイズ

まずスタビリティチェアに座っていきます。

このとき、しっかりと坐骨が座面に着くように座り、坐骨で地面を下に向かって踏む意識を持ちます。すると骨盤が立ち、腸腰筋に力が入りやすくなります。

坐骨でしっかりと地面を踏んだ状態を保ちながらゆっくりと足でペダルを踏んでいきます。すると腸腰筋に刺激が入った状態で殿筋や下半身に力を入れることができます。

すると骨盤を立たせる力がつき、仙骨座りを解消するトレーニングをすることができます。

私が使用しているスタビリティチェアはMerrithewというブランドのものになりますが、とても肌触りが良くまた丈夫に設計されているため安心して使用することができます。

しかし、これ一台でもとても高額なため代用して使用することができる物としてこちらの商品がございます。試しに使用してみたいという人はこちらから試していただけたらと思います。

座位姿勢を正しくするのにおすすめなアイテム

座位姿勢を正しくするために開発されたアイテムにバランスチェアがあります。

こちらの商品は従来のものと違い座面の角度がとても特殊な作りになっています。この座面の傾斜によって骨盤を正しい位置へと誘導し座位姿勢を綺麗にすることができます。また普通の椅子の違うポイントは膝をサポートするためのクッションが付いているという点です。使い方としてはこちらの膝クッションを膝下にある膝蓋靭帯という部位を当ててサポートするのが理想的といわれております。

座り心地もとてもよく、普段座っていると腰が痛いという人には特におすすめな商品となっております。ぜひ一度見ていただけたらと思います。

おわりに

皆さんいかがでしたでしょうか。最近はテレワークが増え、このような姿勢で在宅勤務をされる方が増えてきています。そのようなときもできるだけ身体に負担のかからない姿勢を意識することで仕事の小効率も高まるかと思います。

タオルはどこのご自宅でも必ずある物ですので、手軽に試せる点でもとても良いかと思います。ぜひ、座っていて腰がいつも痛いという方は今回ご紹介した方法を試していただけたらと思います。

今後も皆さんのお身体の悩みを解決できるよう情報発信をしていきますので、興味のある方はぜひ今後もご覧ください。

理学療法士として回復期病院6年、整形外科クリニック8年勤務し、日々多くの方のリハビリや身体の不調に向き合ってきました。

その中で「予防・セルフケア」の大切さを実感し、STOTT  PILATES認定Fullインストラクターの資格を取得し理学療法士をしながらピラティスインストラクターとしても9年活動しております。

今では内臓ストレッチマスタートレーナー、BODY  CONTROL  PILATES認定産前・産後インストラクター、pifilAtes認定インストラクターとしても活動し身体の内側から整えるケアもお伝えしております。

このブログは医療とピラティス両方の視点から『身体が変わるヒント』をお届けしています。

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