【最終更新日:2025年10月17日】
はじめに
「最近、腰が重い」「姿勢が崩れやすい」と感じていませんか?
それはもしかすると、“インナーマッスルの働き”が低下しているサインかもしれません。
インナーマッスルが弱くなる原因としてもっとも多いのが猫背のような不良姿勢になります。インナーマッスルは別名『姿勢保持筋』といい、良い姿勢になる程その力を発揮します。
そしてインナーマッスルの中でも特に注目したいのが骨盤底筋(こつばんていきん)。
骨盤底筋は、体幹の奥にあるインナーマッスルのスイッチともいえる筋肉で、姿勢を安定させるうえで欠かせません。この記事では、骨盤底筋の役割や鍛え方、日常生活の中で自然に活かすコツを詳しく解説します。

骨盤底筋とは?インナーマッスルとの関係
骨盤底筋は、骨盤の底に位置し、恥骨・坐骨・尾骨に付着して骨盤を下から支えています。

役割は以下の3つです。
内臓を下から支える
尿や便の排泄をコントロールする
体幹の安定性を保つ(=インナーマッスルの働きを助ける)
骨盤底筋が働くことで、横隔膜・多裂筋・腹横筋と連動し、いわゆる「体幹のコルセット」が形成されます。
つまり骨盤底筋はインナーマッスルを活性化するスイッチなのです。
骨盤の中間位(ニュートラル)を整える重要性
インナーマッスルを効率的に働かせるためには、まず骨盤の位置を正しく保つことが大切です。
骨盤の中間位とは
立位で「上前腸骨棘(ASIS)」が「恥骨」とほぼ垂直になる位置が骨盤の中間位(ニュートラルポジション)です。
この位置では、骨盤底筋が引き上がりやすく、腹横筋も自然に働きます。
骨盤には上前腸骨棘(ASIS)と上後腸骨棘(PSIS)という突起が存在します。この二つの突起を目印にして骨盤の正しい位置を見つけることができます。
骨盤の正しい位置は立った時に上前腸骨棘(ASIS)が後上腸骨棘(PSIS)より2横指下にある位置が骨盤の正しい位置になります。

なので骨盤が少し前傾しているくらいが骨盤の中間位ということになります。
●:上前腸骨棘 ●:後上腸骨棘
骨盤の傾きによる影響
骨盤前傾(反り腰タイプ)

ヒールを履く女性や胸を張りすぎる姿勢に多く見られます。骨盤が前に傾くことで背中が圧縮され、骨盤底筋が下に引き伸ばされてしまいます。
骨盤後傾(猫背タイプ)

デスクワークやスマホ操作が多い人に多く、背中が丸くなりインナーマッスルが働きにくくなります。骨盤底筋も上手く引き上がらず、たるみや尿もれ、腰痛の原因になります。
骨盤のニュートラルポジションについてはこちらの記事に詳しくまとめてありますので、ぜひご覧ください。
まずは骨盤中間位を作れるように練習しよう
骨盤の中間位を意識するためには骨盤のASIS(上前腸骨棘)と恥骨の場所を知る必要があります。

骨盤の中間位は立位において左右ASISと恥骨を結んでできた面が地面の垂直になる位置が骨盤の中間位となります。

骨盤底筋の付着場所
※この図は骨盤を下側から写した画像になります。上の●が恥骨、左右二つの●が坐骨、下の●が尾骨になります。

骨盤底筋を正しく使うための意識づけ
ステップ①:骨盤中間位を作る
両手で骨盤の前(ASIS)と恥骨を触れます。 その3点が垂直になる位置に骨盤を調整したら 背筋を軽く伸ばし、肩の力を抜きます。 この姿勢がインナーマッスルを働かせる準備姿勢です。


ステップ②:骨盤底筋を引き上げる感覚をつかむ
「お尻の穴を頭の方へそっと引き上げる」ように意識してみてください。
お腹の奥が少し凹み、下腹部に軽い緊張が入れば正解です。


このとき呼吸を止めず、吸って緩め、吐いて引き上げるのリズムを意識します。
ステップ③:呼吸と連動させる
骨盤底筋は横隔膜とペアで動きます。
吸う → 骨盤底筋が緩む 吐く → 骨盤底筋が引き上がる この呼吸サイクルを意識するだけでも、日常の中で自然にトレーニングになります。
骨盤の中間位を作った状態で骨盤底筋の意識をすることでよりインナーマッスルのスイッチが入り、より効果を高めることができます。

こちらの記事に骨盤底筋に刺激を入れるコツについてまとめてありますので、興味のある方はぜひこちらの記事もご覧ください。


理学療法士がおすすめする骨盤底筋の本当にすごいところ
骨盤底筋の本当のすごさはただインナーマッスルに刺激を入れるところだけではありません。
一番のすごいところはインナーマッスルが発揮するためのきっかけを作りながら、それ以降は骨盤底筋に意識を向けなくても、インナーマッスルが持続的に安定するところにあります。
では一度座りながらお尻の穴を少し頭側に引き上げるようにイメージしてみましょう。すると下腹部が少し凹むのがわかるかと思います。この状態が腹圧が高まった状態になります。
次にお尻の穴から意識をそらしてみてください。先ほど凹んだ下腹部がまだ持続的に保たれているのがわかるかと思います。このように骨盤底筋は腹圧を高めるための最初のきっかけを作りながら、それ以降も持続的に腹圧を高める手助けをしているのです。
骨盤底筋を意識すると良い日常生活でよく行う3つの動き
ぎっくり腰にもなりやすい重たいものを持ち上げる動作

重たいものを持ち上げるときに腰が痛くなったという経験がある方は多いと思います。これは重たいものを持ち上げる際本来無意識下で入るはずのインナーマッスルがうまく機能せず体幹が不安定な状態で持ち上げようとしたために起こります。
そのため、物を持ち上げる直前にお尻の穴を頭側へ少し引き上げる意識を持つと下腹部が安定します。この状態を作った状態で持ち上げることで腰部の負担が大幅に経験します。
不安定な場所でバランスをとるとき

不安定な場所では身体の動揺が大きくなることでバランスを崩す原因となります。
例えば細い道を歩くときや高いところで作業をしている時などはバランスをとることに意識を集中すると思います。
そんなときに骨盤底筋を意識することで体幹が安定し身体が動揺するのを軽減をすることができます。
片脚立ちになるとき

片脚立ちは簡単そうに見えて意外にできない方が増えております。一般的に片脚保持時間が15 秒以下だと転倒リスクが高くなるといったデータもでております。
日常生活で片脚立ちになる場面で一番多いのがズボンを履くときです。いつも立った状態でズボンを履くときにバランスが崩れる方は注意が必要です。
このようなときも片脚立ちになる前に骨盤底筋を意識することで片脚立ちの安定性が高くなります。
骨盤底筋が弱くなると起こるトラブル
骨盤底筋が上手く使えない状態が続くと、次のような不調が起こりやすくなります。
腰痛や骨盤の不安定感
下腹ぽっこり 尿もれ、頻尿
姿勢の崩れ、猫背
便秘や血流低下による冷え
特に女性では、出産や加齢によって骨盤底筋が緩みやすいため、早めのケアが予防につながります。
骨盤底筋を鍛えると得られる5つのメリット
腰痛・反り腰・猫背の改善
下腹の引き締め
骨盤の安定による美しい姿勢
尿もれ・内臓下垂の予防
呼吸が深くなり、自律神経が整う
日常生活に「骨盤底筋のスイッチを入れる習慣」を取り入れるだけで、これらの変化を実感できるようになります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 立ったままでもトレーニングできますか?
→ はい。立位や通勤中でも「骨盤を立てて、お尻の穴をそっと引き上げる」意識で十分効果があります。
Q2. 力を入れすぎるとどうなりますか?
→ 強く締めすぎると呼吸が止まり、逆に体幹が固まってしまいます。軽く意識する程度でOKです。
Q3. どのくらいで効果が出ますか?
→ 1日数分の意識を1〜2週間続けると、姿勢や腰の安定感が変わってきます。
最後に
皆さんいかがでしたでしょうか。普段お尻の穴を意識することはないと思います。現代では不良姿勢の方が増え、骨盤底筋の意識が高まりづらい身体のが増えました。ほんの少しの意識の違いで身体の使い方は大きく変わります。実際にお腹に力を入れたい時などにこの記事を読んで少しでもそのお役に立てたら嬉しいです。
本日もご覧いただきましてありがとうございました。



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