腎臓には筋肉が付いているのを知っていますか。腎被膜と筋肉との関係性を理解して腎臓の動きを改善する方法について。

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はじめに

本日のテーマは腎臓の動きになります。腎臓は皆さんのイメージだと

尿を作るための臓器

というのが一般的なイメージだと思います。

実は腎臓は筋肉が付着する特殊な臓器でもあります。そのため筋肉の動きと連動して腎臓も滑走するように動きを伴います。そのため、腎臓と連結している特定の筋肉の動きが硬くなることで腎臓の動きも制限されます。すると結果的に腰痛や脇腹痛などを伴いやすくなります。

そこで今回は腎臓と筋肉のつながりを理解して、腎臓の動きを引き出すための方法をお伝えしたいと思います。

腎臓は血液の集合体

腎臓には心臓からでた血液の約1/4もの量が流れていきます。そのため腎臓は血液の集合体とも言われています。しかし、なんらかの原因で腎臓にいく血流が阻害されたり、腎機能に何か問題が起きることで腎臓自体の柔軟性が低下してしまいます。

すると結果的に腎臓周囲にある筋肉にも影響を及ぼしてしまいます。

臓器のある場所

身体の内部にあるほとんどの臓器は腹膜腔という空間にあり

臓器すべてが腹膜に覆われている

臓器の一部が腹膜に覆われている

状態になっています。

参照:オステオパシーの内臓マニピュレーション図3-1

腹膜に臓器の大半が包まれているものを腹膜内臓器といい、主に胃や十二指腸上部、空腸、回腸、横行結腸、S状結腸、脾臓、卵巣などがあります。

臓器の一部が腹膜に包まれているものを半腹膜内臓器といい、肝臓や胆のう、盲腸、上行結腸、下行結腸、子宮、膀胱などがあります。

腎臓のある場所

さきほど紹介した臓器とは違い腎臓は腹膜後臓器という位置づけになります。

この腹膜後臓器とは腹膜の外側に位置し、後腹膜腔というスペースに存在する臓器のことを言います。

参照:オステオパシーの内臓マニピュレーション図3-1

この後腹膜腔にある臓器の特徴は腹膜内にある臓器と比較して体内になる筋肉とつながりが多いということです。

つまり、整体やリハビリなどで筋肉にアプローチすることがあるかと思いますが、これらの筋肉と腎臓はとても関係性の深い特徴があります。

腎臓に問題があると生じる身体のサインはとても重要なものです。こちらの記事に腎機能にとても関係のある尿路結石についてまとめてありますので、興味のある人はぜひこちらの記事もご覧ください。

 腎臓と筋肉のつながり

腎臓には腎被膜という膜が存在します。そしてこの腎被膜は腰痛の原因になり得るものになります。

また、腰痛の原因は腎被膜だけではなく、この膜に連結している筋肉も腰痛の原因となる可能性があります。理学療法士や整体師の方なら誰でもご存知だと思いますが腎被膜には「腸腰筋」と「腰方形筋」という筋肉が付着しており、この2つの筋肉は腰痛との関係がとても深い筋肉になります。

参照:ネッター解剖学アトラス原書第4版図330

腰痛に関する記事は他にもありますので、興味のある人はぜひこちらの記事もご覧ください。

腸腰筋(腸骨筋+大腰筋)

主に股関節を前に曲げる作用があります。この筋肉が硬くなり短縮すると骨盤を前傾させてしまいます。すると腰が反ってしまい腰痛の原因になります。

腰方形筋

主に体幹を横に反らす作用があり、左右の腰方形筋が働くことで側腹部の安定性を生み出しています。この筋肉の硬さに左右差があると腰が横に反りやすくなり腰痛の原因になります。

腎臓の動き

ポイント

腎臓は実質臓器になります。実質臓器とは簡単に言うと臓器の内部が組織で満たされており、質量が大きい臓器のことを言います。そのため内臓が滑走する際に運動軸をもった動きがあります。

それと比較して胃や腸といった臓器の中が空洞の臓器のことを管腔臓器といいます。この管腔臓器は臓器の形状が内容物によって変化するといった特徴があります。

では腎臓の動きについてお伝えしたいと思います。

腎臓は吸気で内側頭方から外側尾方へ動きます。呼気はその逆になります。分かりやすくいうと腎臓は呼吸に合わせて車のワイパーのような軌跡で動きます。

 腎臓アプローチ

まず背部の第12肋骨に触れその高さにある腎臓を確認します。

参照:オステオパシーの内臓マニピュレーション図14-1

もう片方の手でCの形を作り腹側面の第12肋骨の高さに手を置きます。この状態でゆっくり深呼吸をしてもらいます。

呼気のときに腎臓を上に持ち上げる

吸気の時に腎臓を下方へ下げる

ようなイメージで誘導していきます。

臨床での経験から

私が腎臓へアプローチするときに感じるのが呼気の時に腎臓が上に持ち上がらないという感覚を良く経験します。なので腎臓を誘導する際に特に意識しているのが呼気の時に腎臓を上に持ち上げるということです

よく腹部に触れたときに動脈の拍動を強く感じる方が見えますが、それは腹部にある組織の柔軟性が低下していることで拍動による振動が伝わりやすいためだと私は考えています。しかし、この腎臓のアプローチがうまくいくと徐々に腹部の組織の緊張が落ち、動脈の拍動を感じにくくなります。また呼気のときの腎臓の抵抗感が軽減してくるとリリースができてきたと判断しています。

 最後に

 腎臓の動きは理解できましたでしょうか。自分は普段の仕事で患者さんの身体をみながら繰り返しイメージして触ることでやっと腎臓をアプローチする感覚が分かるようになってきました。どのような構造になっていて、どのような状態になれば腎臓やその周りの筋肉がリリースできたと判断するのか、それを身に付けるのはやはり繰り返しイメージしながら練習するしかないと思います。はじめはよく分からないと感じることが多いと思いますが、自分なりの感覚を掴むことができたらそれは本当に治療を行う上で武器になると思います。ぜひ今までのブログからそのヒントになるものを探してもらえたらと思います。

本日もご覧いただきありがとうございました。

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