はじめに
現代において腰痛を呈している方はとても多く急性腰痛や慢性腰痛などその方によって原因はさまざまです。腰痛というとまずレントゲン撮影をして薬や注射、リハビリで様子を見ることが多いと思います。その際レントゲン画像でも問題がなく、リハビリで運動やマッサージをしてもなかなか変化がでない方は数多くいます。
腰痛というとまず関節や筋肉、神経による問題を疑います。しかし、腰痛に関係するものとしてもう一つ忘れてはいけないのが『内臓』になります。
その中でも今回は腰の硬さに大きく関与する小腸の特徴について説明していきたいと思います。
小腸はどうやって固定されているの
小腸は主に身体の下腹部の高さに存在します。皆さんが想像する腸はホースような筒状の柔らかいものが下腹部にぐるぐるしながら詰まっているイメージだと思います。しかしその腸はとても長く複雑に絡み合っているため何かで固定しなければお腹の中で捻れたり、動きすぎてしまいます。
参照:ネッター解剖学アトラス原書第4版図271
※この図は小腸を除いてその奥にある腸間膜を表した図になります。
小腸は体内にある栄養を吸収するための大切な臓器になります。小腸についての記事は他にもまとめてありますので、ぜひご覧ください。
小腸と腰骨の関係ついて
腰骨は別名腰椎といい、腰の高さにある椎体のことをいいます。小腸(空腸、回腸)は腸間膜によって後腹膜を介して腰椎に固定されています。
参照:オステオパシーの内臓マニピュレーション図3-1
腸間膜の特徴
腸間膜はただ小腸を固定するだけではなく、脈管系に富んでおり小腸にいく血管やリンパ管の通路になります。
腸内環境を改善するためには食事内容がとても大切になります。腸内環境を改善する食材についてはこちらの記事をぜひご覧ください。
腸の動きが悪い人は腰も硬いかもしれない
腸間膜は後腹壁を介して腰椎に固定されています。そのため腸間膜が硬くなると腰椎の動きに影響が生じます。
参照:オステオパシーの内臓マニピュレーション図3-1
腰椎は5つの椎体から構成されており、その周囲にはほかに骨がありません。そのため周りにある筋肉やいろいろな膜によって安定性を得ています。つまりお腹の筋肉が弱かったり、膜に硬さが生じると腰椎の安定性や可動域に影響を及ぼす可能性があるということです。
腰の硬さをみてみよう
それではまず膝を立てた状態で仰向けになります。この状態で両膝を左右に倒すと骨盤から腰椎にかけての動きをみることができます。
膝を倒した時に骨盤や腰椎が硬いと次のような症状がでます。
- お尻や腰が張る
- 背中が浮き上がる
- 膝を倒す動きに左右差がある
腸間膜のストレッチのやり方
腸間膜のストレッチをする事で小腸を介して腰椎の動きを引き出すことができます。腰が硬いという方は是非試しにやってみましょう。
まず膝を立てて仰向けになります。
腸間膜の軸は図で示した赤い斜めのラインをイメージします。
参照:ネッター解剖学アトラス原書第4版図271
腸間膜に触れていくときは表面の皮膚ではなく、皮膚の奥にある腸をつまむようなイメージでお腹をつまみます。つまんだら赤い点線の軸を意識して図のように伸長感が得られるところまで斜め方向へ引っ張ります。この腸を引っ張った状態を30秒程キープしながらゆっくり深呼吸します。
ストレッチを行なったらもう一度膝を倒したときの骨盤と腰椎の硬さをみてみましょう。変化を感じた方は腸の硬さが腰椎の動きに少なからず影響しています。1日一回でも構いませんので継続して小腸のストレッチを行いましょう。
最後に
腸といえばまずはじめに下痢や便秘といった症状を思い浮かべると思います。しかし、それだけではなく今回の内容は腸が腰痛にも関わりがあるというお話でした。なかなかこういった内科的な問題と整形的な問題をあわせて考えることはないと思います。しかし、人の身体はすべて繋がっていて問題や原因を考えるとき、筋骨格系ばかりにとらわれていてはその方の身体を本質から評価することはできません。そこで評価をするにあたって内臓機能もその一つに加えることでアプローチする幅が大きく変わります。本日お伝えしたアプローチ法は簡単にできますので腰椎の可動域に問題がある方には一度試してもらうと良いと思います。
これからも皆さんに内臓に興味を持っていただけるよう情報発信していきたいと思います。
本日もご覧いただきありがとうございました。
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