上殿部が痺れるという方必見。痺れの原因とセルフケアの方法について現役理学療法士が解説します。

スポンサーリンク

はじめに

皆さんはずっと座っていたり、動き始める時などに急におしりが痛くなったという経験はありませんか。お尻は身体の部位の中でも比較的面積が広く、痛みの原因はさまざまです。

しかし、お尻のどこの部分に痛みがあるのかを詳しくみることによって原因が分かることもあります。

お尻の痛みというとよく坐骨神経の痛みを疑うことがありますが、今回はそれ以外の要素でお尻に痛みが生じる原因についてお話ししたいと思います。

そこで今回はお尻が痛いといっても比較的腰とお尻の間の部位お尻の上側に痛みや痺れを生じる原因についてお伝えしたいと思います。

おしりが痺れる原因

冒頭でもお話ししたようにお尻に痛みや痺れを生じる要因はたくさんあります。その中でも比較的多い原因についてまずはお話ししたいと思います。

椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛

長期的な不良姿勢や筋力低下によって背骨と背骨の間にある椎間板がとび出し、腰椎にある神経を圧迫することで生じます。

この椎間板ヘルニアは背骨(腰椎)が丸くなっている人に多くみられ、デスクワークや床での生活が多い人、普段から猫背の姿勢をとられている人などに多く見られます。

脊柱管狭窄症による坐骨神経神経痛

加齢や筋力が衰えることで神経の通り道である脊柱管が狭くなり、神経根や馬尾神経を圧迫することで生じます。

この脊柱管狭窄症は背骨(腰椎)が過剰に反っている人に多くみられ、普段から反り腰姿勢になっていたり、背中を丸くする可動域が低下している人に多くみられます。

上殿皮神経による痺れ

この上殿皮神経は腰部から骨盤の腸骨稜を超え、殿部の上側に走行する神経になります。この神経による痺れや痛みは腰を捻じったり、反らすような動きを伴うときや神経の走行部位を圧迫することで疼痛を自覚します。

今回はお尻の痺れの中でも上殿部に痺れが生じやすい上殿皮神経について詳しくお話したいと思います。

腰痛に関する記事は他にもあります。興味のある方はぜひご覧ください。

上殿皮神経による痺れの特徴

上殿皮神経は骨盤の一部である腸骨の上部から殿部の上部にかけて走行する神経になります。

この神経は腰部にある胸腰筋膜の間を走行します。そのため、この胸腰筋膜の滑走性が下がると上殿皮神経を圧迫し腰痛を伴います。

そして、この上殿皮神経により腰部に痛みや痺れを生じている場合、腸骨上部を圧迫すると疼痛を伴う場所があります。

この上殿皮神経の特徴としては坐骨神経痛と違い、下半身に痛みが波及することはなく、レントゲンやMRIでは原因が特定できないという特徴があります。

上殿皮神経による痛みを確かめる方法

上殿皮神経の走行は腰部から腸骨稜を超え、上殿部まで走行します。そのため、背面の腸骨稜に沿って圧迫していき、疼痛を強く感じるところがあるのかを確認します。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 22370277z.jpg

腰仙部が短縮している人は要注意

腰仙部とは腰椎と仙骨の境目となる部位です。この部位は姿勢が崩れている人は痛みが出現しやすい場所でもあります。この腰仙部が短縮しやすい人の特徴は2つあります。

一つ目が骨盤が前傾し腰椎の前弯が強いパターン

もう一つが骨盤が前方へとスウェイし下位腰椎の前弯が強いパターンです。

この2つは腰部が短縮しやすいため胸腰筋膜が硬くなりやすい状態になります。すると、その間を滑走している上殿皮神経を圧迫しやすくなります。

骨盤の位置が崩れることで腰部にはとても大きな負荷がかかります。骨盤の正しい位置についてはこちらの記事にまとめてありますので、ぜひご覧ください。

上殿皮神経の滑走性を高めるポイント

上殿皮神経の圧迫を軽減するためには胸腰筋膜をはじめ、腰部から殿部にある組織の滑走性を高めることが重要になります。

ポイント

その中で先ほどお伝えした骨盤前傾ー腰椎過前弯の方や骨盤が前方移動している人に重要なのは

下腹部の安定性を高めることがポイントになります。

骨盤前傾位の場合は骨盤を後傾、腰椎の過前弯を軽減する目的で下腹部の安定性を高めます。

骨盤前方移動の場合は前方にシフトした骨盤の位置を後方へともどし、胸郭と骨盤の位置関係を修正する目的で行います。

上殿皮神経のリリース法

上殿皮神経の滑走性を高めるためには胸腰筋膜の滑走性を高める必要があります。そのためには

胸郭

腰椎

骨盤の可動域を増やすことがポイントになります。

特に胸腰筋膜は大殿筋と広背筋との連結が強いため、胸腰筋膜と一緒に大殿筋と広背筋の滑走性を高めることが大切になります。

そして胸腰筋膜が緩んだらその状態を維持するために下腹部の安定性を高めることがポイントになります。

広背筋ストレッチ

まず四つ這いになります。

続いて伸ばしたい側の手を対側の手のやや上に置きます。

その状態で殿部を手から遠ざけるように斜め下方へとシフトさせます。このとき脇から天井を覗き込むようにすることでより広背筋をストレッチすることができます。このストレッチを30秒から60秒行います。

大殿筋ストレッチ

膝を立てた状態で座ります。

次に片側の足を対側の膝に乗せていきます。すると膝に乗せた側の大殿筋が伸びるのがわかるかと思います。このストレッチを30秒から60秒行います。

脊柱と骨盤を緩めるストレッチ

四つ這いの状態から骨盤を後傾させ、腰椎の丸みを作ります。すると骨盤と腰椎を介して胸郭の前傾可動域も高めることができます。

次に背部が丸い状態のまま骨盤をさらに後傾させながら下方へとシフトしていきます。そうすることでより胸腰筋膜をさらにストレッチすることができます。この動作を20回行います。

下腹部を安定させるエクササイズ

下腹部を安定させる時に意識するポイントは骨盤を後傾させながら下腹部を使うことです。また骨盤を介して腰椎の動きを下腹部の力を使ってコントロールすることによって胸腰筋膜の緊張を軽減することができます。

まず膝を立てた状態で座ります。

次に手を前に伸ばした状態で骨盤を後傾させ上体をやや後方へシフトします。

このとき背中が過剰に猫背になったり肩に過剰に力が入らないように注意しましょう。

次に上体を後方へと倒しながら片手を斜め後方へと伸ばしていきます。このとき身体も伸ばした手に向かって回旋させながら身体に捻じりを加えることで腹斜筋に力が入り、より広背筋のストレッチを行うことができます。

最後にゆっくりと元の位置に戻ります。このエクササイズを1日に30回2セットを目標に行います。

最後に

皆さんいかがでしたか。腰痛の原因はたくさんあり、なかなか病院に行っても良くならないというケースもたくさんあります。そのようなときに自身の腰痛の特徴をしっかりと理解し、原因を探ることで対処できる腰痛もたくさんあります。

腰の痛みを自分の力だけで治そうと思うのは本当に大変なことです。しかし、原因が分かれば意外と病院に行かなくても解決してしまう腰痛があるのも事実です。

今回の記事を読んで自身の腰痛の特徴に似ていると感じた方はぜひセルフケアを毎日欠かさず行っていただけたらと思います。

今後も皆さんの身体の悩みを解決するための情報発信をしていきますので、楽しみにしていて下さい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました