クラムシェルの正しいやり方と効果/理学療法士が解説するお尻のトレーニングのコツ

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【最終更新日:2025年10月3日】

はじめに

私は普段理学療法士とピラティスインストラクターとして活動しております。

「丸くて引き締まったお尻を作りたい」「股関節を安定させたい」と考えたとき、多くのトレーナーや理学療法士が勧めるエクササイズが クラムシェル(Clam Shell) です。

横向きに寝て膝を開閉するだけのシンプルな運動ですが、実は狙って鍛えられる筋肉はとても重要です。特に股関節の安定性や姿勢改善に大きく貢献します。

この記事では、現役理学療法士の視点から「クラムシェルの正しいやり方」「よくある間違い」「効果を高めるポイント」「応用バリエーション」まで徹底解説します

このエクササイズは見た目だけではなく、身体の機能性を高めるのにもとても適したエクササイズになります。そして先ほど申した丸いお尻を作るのにとても効果的なエクササイズになります。

クラムシェルとは

クラムシェルとは殿部の深層にある外旋筋群を刺激するエクササイズになります。このエクササイズは【股関節外旋】という動きを側臥位という状態で行うことで重力下の状態で効率的に股関節に負荷を与えることができます。

クラムシェルで鍛えられる筋肉

クラムシェルがターゲットとするのは、中殿筋(ちゅうでんきん)小殿筋(しょうでんきん)深層外旋筋群と呼ばれるお尻の奥の筋肉です。

それぞれの機能

中殿筋:骨盤を水平に保ち、片足立ちや歩行時に身体が傾くのを防ぐ。

小殿筋:股関節を安定させ、骨盤の前後のバランスを支える。

深層外旋筋群:股関節を外に回す働きを持ち、歩行やランニング時の安定性に関与。

これらの筋肉は日常生活では意識しにくく、鍛える機会が少ないため弱くなりやすいのが特徴です。弱まると「お尻が垂れる」「股関節や腰が不安定になる」「膝や腰に負担がかかる」といった問題を引き起こしやすくなります。

クラムシェルの効果

クラムシェルを継続して行うことで、以下のような効果が期待できます。

ヒップアップ効果  

丸みのあるお尻を作り、ボディラインを整える。

股関節の安定化  

立ち姿勢や歩行が安定し、転倒防止や疲労軽減につながる。

腰痛・膝痛の予防  

お尻の筋肉が弱いと腰や膝に負担が集中しやすいが、クラムシェルで支えが強化される。

スポーツパフォーマンス向上  

ランニングやジャンプ動作時に体幹が安定し、無駄なブレが減る。

丸いお尻を作りたい人におすすめ

クラムシェルは股関節を外旋させながら行うため丸いお尻を作りたいという人におすすめなエクササイズになります。

女性は内股の人が多く、この外旋筋群をうまく使えない人が多いです。

要因として

股関節前面や内側の硬さがある

殿部の力が弱い

などが挙げられます。

外旋筋群は主に仙骨から大転子に向かって走行しているため、この筋肉に力が入ると殿部を横方向(外側から内側に向かって)引き締めてくれます。

6つの外旋筋群

梨状筋

上双子筋

下双子筋

内閉鎖筋

外閉鎖筋

大腿方形筋

そのため、クラムシェルは丸いお尻の形を形成するのにとてもおすすめなエクササイズになります。

他にも股関節についてまとめた記事がありますので、ぜひこちらの記事もあわせてご覧ください。

仙腸部の痛みがある人にもおすすめ

私は普段理学療法士とピラティスインストラクターとして活動しています。その際よく仙腸関節性の腰痛を訴える方がいます。

この仙腸関節性の痛みはズキッと仙腸部に感じることが多く特に座っている時などに増悪しやすい特徴があります。

この仙腸関節性の腰痛の原因として多いのが仙腸関節の不安定性になります。この不安性を改善するのに殿部の筋力がとても重要なポイントになります。

このクラムシェルというエクササイズは殿部の力を鍛え、仙腸部の安定性を高めるのにとても適しています。

クラムシェルのポイント

プラムラインを崩さない(肩峰から大転子)

プラムラインとは

頭から足までを横から見て以下の点を一直線で通ると「良い姿勢」とされます。

・耳のやや後方

・肩峰(肩の外側の骨の突起)

・大転子(股関節の横の骨の出っ張り)

・膝関節のやや前方

・外果(足首の外くるぶし)のやや前方

クラムシェルのポイントは股関節の外旋運動です。しかし、この外旋運動時に骨盤が安定しないと股関節外旋筋群に効率よく刺激が入りません。そのため、クラムシェルを実施中、常にプラムライン(肩峰から大転子)が保たれているかを確認することがとても重要になります。

こちらは股関節を開く際に胸が前にねじれてしまうことでプラムラインが崩れています。

こちらは股関節を開く際に骨盤も後方へ倒れてしまうことでプラムラインが崩れています。

プラムラインを意識することで体幹を安定させながら股関節を動かす意識を高めることができます。

するとより効率的に殿部の筋肉に刺激を与えることができます。

股関節の動きを意識する

クラムシェルを行う際になりがちなのが『膝を開く』意識が強くなることです。膝を開く意識が強いと通常は殿部にある股関節外旋筋群に刺激が加わるのに対して大腿筋膜張筋や外側広筋に余計に力が入ってしまいます。

そのため、クラムシェルを行うときは『股関節(足の付け根)を開く』意識を持ちながら行うことがとても大切になります。

股関節の位置はASISの内下方の位置をイメージすると分かりやすいです。

股関節が開きにくいという方はぜひこちらの記事もあわせてご覧ください。

クラムシェルの応用

クラムシェル+サイドプランク

まず膝を曲げだ状態でサイドプランクの姿勢を作ります。

その状態で膝から体のラインが一直線の状態を維持しながらクラムシェルを行います。

このエクササイズによってお尻のトレーニングだけではなく、肩甲骨周囲や体幹、股関節の安定性も同時に高めることができます。綺麗なくびれを作りたい方やぽっこりお腹を治したい人にはとてもおすすめなエクササイズになります。

クラムシェル+肩関節外旋

また次に側臥位の状態で手にトーニングボールを持ちます。

私が使用しているトーニングボールはMerrithew製のものになります。とても把持した時の持ち心地が良く、中に砂が入っているためボールを動かす際に繊細な負荷を関節にかけることができます。私が普段レッスンをするときにとても重宝するツールの一つになります。

トーニングボールを把持した側の肩を外旋させながら同側の下肢を開排させることで殿部だけではなく肩甲帯のトレーニングも行うことできます。

最近とても多い猫背の方は肩の外旋筋群が低下していることが多いためこのトレーニングを行うことでお尻だけではなく猫背に対するトレーニングも同時に行うことができます。

クラムシェルの開排角度を広げて行う

最後はクラムシェルの角度で負荷を上げる方法になります。

スタート時点で少し股関節を開いた状態で横向きになります。

次にこの股関節が開いた状態からさらに股関節を開きます。このときプラムラインが崩れないように注意しましょう。

このように最大外旋可動域までしっかりと動かすことによって外旋筋群の筋長の幅が広がりより丸い綺麗な殿部を作ることができます。

クラムシェルはどんな人におすすめ?

以下のようなお悩みのある方はぜひクラムシェルをセルフケアの一つに加えていただけたらと思います。

ヒップアップや美尻を目指したい方

姿勢を改善したい方

股関節や膝のトラブル予防をしたい方

ランナーやジャンプ動作を行うアスリート

産後の骨盤安定を目指す女性

最後に

皆さん、いかがでしたか。

クラムシェルは自宅でも簡単にできるエクササイズの一つです。

今回はそのクラムシェルのやり方だけではなく、その応用までお伝えしました。

ぜひお尻をキレイにしたいという方はご自宅で頑張ってチャレンジしていただけたらと思います。

理学療法士として回復期病院6年、整形外科クリニック8年勤務し、日々多くの方のリハビリや身体の不調に向き合ってきました。

その中で「予防・セルフケア」の大切さを実感し、STOTT  PILATES認定Fullインストラクターの資格を取得し理学療法士をしながらピラティスインストラクターとしても9年活動しております。

今では内臓ストレッチマスタートレーナー、BODY  CONTROL  PILATES認定産前・産後インストラクター、pifilAtes認定インストラクターとしても活動し身体の内側から整えるケアもお伝えしております。

このブログは医療とピラティス両方の視点から『身体が変わるヒント』をお届けしています。

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