【初心者必見】ピラティスがうまくなる基本原理について現役理学療法士が解説します。

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はじめに

皆さんはピラティスという言葉を聞いたことはありますか。日本では少子高齢化が進むことによって昔よりも健康に対する意識が高い人が多い傾向にあります。

そのため、身体のケアを行うために病院や整体、ヨガなどさまざまな方法によって健康維持をする人が増えてきました。

その中で最近流行ってきているものに『ピラティス』があります。

チェック

ピラティスとは簡単にいうと身体の深層部にあるインナーマッスルを刺激しながら身体の機能を高めるものになります。

そのため、たくさんの人がピラティスに興味を持ちやり始めています。しかし、その中で見た目はうまくできているように見えても、意外とエクササイズをしっかりと正確に行えていない人がとてもたくさんいます。

その理由としてピラティスには効果を引き出すためにエクササイズ中に意識するポイントがあります。そのポイントがうまくできていないとエクササイズの効果が半減するだけではなく、身体に余計な負荷がかかり、二次障害を起こす可能性もあります。

そこで今回はピラティスがうまくなるための基本原理についてお伝えしたいと思います。

ピラティスをやることによる効果

ピラティスをすることによってもたらされる効果として最も大きいのが身体のインナーマッスルの機能が高まることにあります。

ポイント

インナーマッスルとは身体の深層部にある比較的小さな筋肉で身体の軸を安定させる作用があります。

そのため、インナーマッスルが強くなることで

関節などへの負担減る

姿勢が良くなる

代謝が上がる

といった効果が期待できます。

ぜひピラティスがうまくなりたいという人はこちらの記事もご覧ください。

ピラティスがうまくなる基本原理

それではピラティスがうまくなるための基本原理についてお話ししたいと思います。今回は私自身が取得しているピラティス団体『STOTT PILATES』の考え方についてまとめていきたいと思います。

ピラティスを実際にやってみたいという人はぜひこちらの記事もご覧ください。

呼吸

まずピラティスをやるときにまず初めに意識するのが呼吸になります。呼吸が大切になる理由としては

➀エクササイズへの集中力を高める

②胸郭の立体的な動きを感じる

③腹圧を高める

などの理由があります。この3つはエクササイズを行う上で

インナーマッスルへの刺激を高める

ことができます。

ストットピラティスで優先される呼吸は横隔膜の活性化を確実にする鼻からの吸気とすぼめた口からの呼気を組み込んだ呼吸になります。

ポイント

口をすぼめた呼吸は呼気時に腹筋の動きを増加させる可能性を持ちます。そしてこの呼吸パターンにより胸郭の立体的運動を促進し、腹筋群と骨盤底と協調して横隔膜と肺が全方向に拡張します。これにより胸郭と腰部、骨盤領域にある深層部にある筋肉の理想的な長さと張力の関係が形成され体幹の安定を高めることができます。

➀下部肋骨に手を当てた状態で鼻から息を吸います。そのとき肋骨が左右に開くのを意識します。

②次に口からゆっくりと息を吐きながら開いた肋骨を閉じるように意識します。呼気の際にお腹が凹むような動きが出ていれば腹圧がしっかりと高まってきているサインになります。

骨盤の配置

骨盤の位置には

ニュートラルポジション

インプリントポジション

の2つがあります。

ニューラルポジションとは

骨盤のニュートラルポジションとは仰向けになったときに左右ASISと恥骨を結ぶ面が地面を並行立位の時に床と垂直になる位置を骨盤のニュートラルポジションといいます。そして骨盤がニュートラポジションになることによって脊柱の自然なS字カーブを保つことができます。

ASIS(上前腸骨棘):骨盤前面にある出っ張りの部分

背柱には自然なカーブがあり、このカーブがあることによってインナーマッスルの筋長は正常な状態となります。インナーマッスルの筋の長さが適切な状態になることによって体に加わる力や負荷に対してインナーマッスルが適切に体幹を安定させたり、動きを制御する役割を果たすことができます。

つまりこのニュートラルポジションは背骨の自然なS字カーブを作り、関節の負担が最も少ない姿勢になります。

インプリントポジションとは

軽度の骨盤後傾と腰椎の屈曲を複合したものになります。

エクササイズの中には腰部に負担がかかるエクササイズがありますが、インプリントポジションによって腹斜筋の安定性を高め、腰部の負担を軽減することができます。

つまりインプリントポジションは腹筋群の弱化による問題をカバーしながらエクササイズを行う姿勢になります。

胸郭の配置

胸郭の配置を意識するときのポイントは

胸郭のポイント

胸郭は肋骨と胸椎と連結した大きな鳥籠のような構造をしている

胸郭は骨盤と筋肉によって連結している

胸郭には生理学的な動きがある

になります。

胸郭の鳥籠のような骨格的構造の特徴

胸郭が肋骨を介して胸骨と胸椎を連結した構造になっていることで

胸椎の間接的なアライメントの評価

骨盤のニュートラルポジションの確立

を助けるための視覚的な基準を提供します。

そして胸郭が骨盤上に重なり、胸郭横隔膜と骨盤隔膜とが平行に向き合う位置関係が理想的です。

これを細かく言うと第10肋骨と骨盤のASISが同じライン上にある場合に骨盤と胸郭の位置関係が適切な状態となります。

※第10肋骨:ウエストに手を当て頭側に向かって手をスライドした時に最初にぶつかる肋骨

胸郭と骨盤の筋肉的接続

腹壁は下位肋骨と骨盤に付着します。胸郭、腰椎、骨盤を適切な位置に保つためには腹筋をはたらかせる必要があります。

多くの場合背臥位で胸郭は持ち上がり、座位では胸郭は前方にずれることで胸椎が伸展します。すると骨盤と胸郭の位置関係が崩れてしまいます。このような場面で腹斜筋を活性させることでいかなるときも胸郭と骨盤を正しい位置で維持することができます。

脊柱の生理学的運動

動きを伴うとき呼吸と胸郭および胸椎の動きの間には相互関係があります。

脊柱は吸気時に伸展し、呼気時には屈曲します。ピラティスではこの呼吸に伴う脊柱の動きをエクササイズ実行時に活用します。静かに呼吸する際には脊柱動作は最小に留まるか皆無となります。

エクササイズ中に体幹の安全性と制御を確保するために動作のいかなる場面でも必要に応じて呼気を用いて腹筋群を動員することができます。そして骨盤底と横隔膜(骨盤と胸郭の位置)を平行に保つことで最大限に呼吸からの効果が得られます。

肩甲骨の可動性と安定性

肩甲骨を意識する時に重要な要素は

肩甲骨は関節による安定性が低い部位

肩甲骨は周りの筋肉によって安定性を高める部位

になります。

関節支持性の欠如

肩甲骨は胸郭と脊柱には直接連結を持たない分可動性が高い部位になります。肩甲骨は直接的には鎖骨と連結し、胸郭とは関節的に接合しています。

周りの筋肉による安定性

肩甲骨の安定性の付加は周りの筋肉によって行います。これらの筋肉は収縮によって張力を調整し肩甲骨を胸郭上に安定して保持する役割があります。また脊柱と腕の動作時においても肩甲骨を連動して動かす中で安定した位置を確保します。

これらの筋肉によって安定して肩甲骨の外転、内転、挙上、下制、上方回旋、下方回旋の動きが作られ、また胸郭上にて肩甲骨の安定性を強固にします。

頭と頚部の配置

頭と頚部の配置を意識するポイントは

頭部を含む上位2つの頸椎からなる上部頸椎の制御

3ー7を含む下部頸椎の制御

になります。

上部頸椎と頭部の制御

頭と首にかかるストレスを最小限に抑えるためにニュートラルでの座位、立位時は頭部の自重が頸椎下部、肩、体幹の上でバランスのとれた位置にある必要があります。

頸椎の屈曲は頭蓋ー椎骨の屈曲と呼ばれる、わずかな頭のうなずき(ヘッドノッズ)から始動します。

解剖学上はC1‐2上での頭の動きです。この動作が深層頚部屈筋群を刺激して頸椎の分節的剛性を高め、表在筋の過活動を抑止します。例えば仰向けの状態から頭部を持ち上げる際などは初動でこのヘッドノッズを意識することで頸部の負担軽減、体幹の安定した筋収縮を促すことができます。

よく陥りやすいエラーの動きがうなづき動作の際に頸部の後ろが短縮してしまうパターンです。このような動きがみられると上位頸椎の動きが阻害されエクササイズ中に頸部を痛める原因となります。

この現象はストレートネックの方に多くみられ、頭部が前方にシフトしてしまうために起こります。

頸椎伸展の始動は顎を軽度引き上げます。これにより深層頚部伸筋群が賦活され、表在筋のグローバル筋の過活動を抑止します。

両目を使って各運動を始動することで、運動制御反射を利用した適切な筋活性を強化し理想的アライメントを促進することになります。

下部頸椎の制御

頭と首の重量を安定して支持するためには、頸椎は直立位の場合だけではなく、前後左右・上下に動かす際常に頸椎の下部にある胸椎の延長線上にある必要があります。

ピラティスはいろいろな姿勢をとりますが、頸部の安定性を保つために胸椎と頭頚部の位置を意識することがとても重要になります。

そのため、様々な頚部の動きを作る上で胸椎の柔軟性はとても重要になります。ストレートネックや猫背の方はこの頸椎と胸椎の位置関係が崩れてしまうためさまざまな負担が身体にかかりやすくなります。

下半身の可動性と安定性

下半身の可動性と安定性を意識するポイントは

下半身の静的および動的アライメント

下半身の柔軟性

力の管理

になります。

静的および動的アライメント

下半身の力を効率よく伝えるためには下半身にある3つの関節(股関節・膝関節・足関節)が適切なアライメントで安定している必要があります。この3つのいずれかの関節の中にアライメントの不全がある場合、他のすべての関節に影響を及ぼし、下半身から離れている骨盤、脊柱、および肩にも悪影響を与える可能性があります。

下半身の適切なアライメントは足趾(第二趾)と膝蓋骨の向いている方向が合っているのかをみることで確認することができます。

例えばフロントランジをする際しっかりと足趾と膝蓋骨の位置が合っていれば下半身に適切な負荷がかかっています。

しかし、この2つの位置が崩れてしまうと下半身に適切な負荷がかからず、身体の様々な部位に負担がかかりやすくなります。

柔軟性

下半身の機能を最大限に発揮するためには股関節、膝、足首、足のすべての可能な動きにおける完全可動域の維持が重要です。下半身は床からの反力を上半身へと伝える役割があります

股関節の参考可動域:屈曲125° 伸展15° 外転45° 内転20° 外旋45° 内旋45°               膝関節の参考可動域:屈曲130° 伸展0°                           足関節の参考可動域:背屈20° 底屈45°

しかし、その反力を上半身へと伝える途中のどこかで関節の動きが悪いと、その部位で力の伝達が阻害されてしまいます。またその伝達された力は問題の関節が隣接する関節よりも硬い場合、最も動かしやすい部位で動きが発生します。

力の管理

下半身の中で地面に着く部位はしっかりと地面に向かって押す力が必要になります。

例えば立位の場合、地面に着いている部位は足底になります。

足底で地面を押す際のポイントは3点支持(踵、母趾球、小趾球)によりしっかりと地面を押せているかということです。

この3点でしっかりと地面を押することによって関節が適度に圧迫され、固有感覚受容性のフィードバックによってより筋肉や筋膜が効果的に機能できるようになります。

最後に

皆さんいかがでしたか。

ピラティスはエクササイズに気を取られやすいですが、基本がしっかりとできないままエクササイズをやってもなかなか効果はでません。

この基本をまずはしっかりと意識できるようになることで身体の使い方が変わり、自身でもその変化を感じることができるようになります。

今回の記事を読んで普段のエクササイズをやる際にいつもと違う感覚でエクササイズができるととても良い練習になると思います。

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