はじめに
腰痛で悩んでいる人はとてもたくさんいます。その原因としては関節やその周囲にある筋肉、神経による痛みが大半を占めます。しかし、そのような原因以外にも腰痛になる要素があります。
それが『尿路結石』になります。
神経筋などによる腰痛と内臓由来の腰痛を見分けることはとても難しいです。しかし、内臓由来の腰痛は少なからず身体にサインをだすことがあります。
そこで今回は尿路結石による腰痛の特徴についてお伝えしたいと思います。
尿路結石とは
尿路結石とは腎臓の機能が関係しているのをご存じでしょうか。腎臓は尿を作る以外にもたくさんの機能があります。
腎臓は体内の老廃物を血液(原尿)からろ過し、尿細管を経て尿となったものを体外へと排出します。また水分量の調節や血圧のコントロールにも大きく関わっています。このように腎臓には身体のさまざまな機能を調整する役割があります。
腎臓の怖いところ
腎臓の怖いところは機能が低下しはじめても自覚症状がないところにあります。そのため、異変を感じる頃にはすでに腎臓の機能は大幅に低下しむくみや貧血などさまざまな症状がみられるようになります。
一度低下した腎機能は元には戻りません。そのため、早期から腎機能の維持をするよう意識していくことが大切になります。
腎機能が低下する原因
主に偏った食習慣や運動不足、喫煙、飲酒、ストレスなどの生活習慣が関係しているといわれています。これらが長年続くと糖尿病や高血圧を発症し慢性腎臓病になるリスクが高くなります。
腎臓の働きが正常の15%を切ると腎不全となり、体内の老廃物や余分な水分を十分に排出できないためにさまざまな症状が現れてきます。
腎臓と腰痛の関係性
現代において腰痛の方はほんとにたくさんいますが、その中には筋肉や関節が原因ではなく、腎臓が原因で腰痛を呈している方がいます。
腰痛に関する記事は他にもありますので、思い当たる人はぜひこちらの記事もご覧ください。
腎被膜が伸ばされる原因
腎被膜が引き伸ばされる原因としてよくみられるのが尿路結石です。
尿管結石以外にも膀胱結石や尿道結石、腎臓癌などさまざまな原因で尿の流れが悪くなることで腰痛を伴います。
背骨の外側に沿った痛みには要注意
尿路結石になりやすい部位として特に多いのが尿管になります。尿管は細い管のような形状になっているため、結石が詰まりやすい部位でもあります。
この尿管のある位置は背骨(腰椎)の棘突起外側約5㎝のラインに沿って走行しています。
そのため、尿管結石になると背骨の外側に沿って痛みが出現することがあります。
腎機能を調べるには
腎機能を調べるのは主に血液検査と尿検査になります。
血液検査:クレアチニン値
尿検査:尿蛋白の値
それぞれの検査でこれらの数値をみて腎機能の状態を調べます。
血液検査ではクレアチニンは筋肉などを使った際にでるもので身体には不要なものになります。そのため通常は腎臓により体外へと排出されるため、血液中にはそれほどあるものではありません。しかし、腎機能が低下しているとクレアチニンを体外へと排出することができず血中に残ってしまいます。
尿蛋白は通常身体に必要な蛋白を腎臓で再吸収するはずが、腎機能が低下していることで蛋白を再吸収することができず、そのまま体外へと排出されてしまいます。そのため、結果的に尿の中に蛋白がでてしまうためどちらも腎臓のろ過機能が低下しているという判断材料になります。
臨床で患者さんに確認すること
なかなか腰痛だからといって腎機能の検査をされる方は少ないと思います。私たちのような臨床家は少ない情報で腎臓が原因かを判断する必要があります。そこで患者さんに腎臓の状態を簡単に確認できる方法をお伝えします。
それはずばり「尿」の状態です。
こんな尿には要注意
尿が泡立つ
尿が泡立ち泡がなかなか消えにくい場合は尿に蛋白がでている可能性があります。
尿が赤い
血尿は腎臓のさまざまな病気の疑いがあります。
夜間尿・多尿
腎臓の尿を濃縮する機能が弱まると尿量が増え回数も増えます。そして夜間に何度もトイレに行くようになります。
最後に
今回は腎臓についてお伝えしました。なかなか内科疾患と整形疾患を混合して考えることは難しいと思います。少しでも内臓の機能について興味を持ってもらえると今後ご自身の身体の状態をみるうえでとても参考になると思います。
そして腰痛に関連が深い臓器として腎臓に着目して今回はまとめてみました。なかなか腎臓の状態をみることはないと思いますが、ちょっとした身体の変化に気付けるようになることで、身体の状態が悪化する前に対処できることはたくさんあります。今後も皆さんの身体の悩みを解決するための情報を発信していきたいと思います。
本日もご覧いただきありがとうございました。
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