肝臓の機能が悪いとスタミナの低下につながる理由について現役理学療法士が解説します。

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はじめに

皆さん肝臓と聞くとどのようなイメージがあるでしょうか。よく聞くのは肝硬変や肝炎といった病気の名前が聞くことが多いと思いますが、いざ肝臓がどのような機能を持っているのかと聞かれるとわからない人がほとんどだと思います。

例えばボクシングの試合で右の脇腹を狙う光景がよくあるかと思います。

またよく例えで「ボディブローのようにじわじわ効いてくる」という言い回しが使われることがあります」。どうしてボディブローはじわじわ効いてくるのでしょうか?

ポイント

実はこのじわじわ効いてくるという状態はスタミナと大きく関係があり、肝臓の機能と密接につながっています。

そこで今回はスタミナ関係の深い肝臓の機能についてお伝えしたいと思います。

レバーブローとは

ボクシングで相手を殴る時に腹部を狙って打つことをボディブローといいます。これは腹部を打つことで少しずつ相手の体力を奪っていく攻撃という意味があります。

ボディブローによってすぐさまノックダウンになることは少ないですがある急所にあたることで倒れ込むほどのダメージを負うことがあります。その急所の一つが「肝臓」になります。

肝臓のある位置は右側の腹部になります。

この肝臓へのボディブローは別名「レバーブロー」といわれ、このレバーブローがクリーンヒットすると肝臓に大きなダメージをきたします。

肝臓は身体のエネルギーを代謝する役割があるため、ここにダメージが加わると身体の機能が著しく低下します。

肝臓なしでは栄養は取り込めない

肝臓は身体にある栄養素をエネルギーとして使用できるようにする役割があります。

この役割のことを別名『代謝』といいます。代謝というと皆さんも聞き覚えのある言葉だと思います。この代謝ができることによって私たちの身体は効率よくエネルギーを使うことができるのです。

そのため、肝臓にダメージがあると代謝機能が落ち、身体のエネルギー産生が低下してしまいます。結果エネルギー不足となるためスタミナの低下につながります。

 肝臓は神経と横隔膜とのつながりが強い

 肝臓は呼吸には欠かせない横隔膜との連結が深く、また横隔膜を支配している「横隔神経節」とも関係性の深い臓器なのです。

その神経は横隔膜の動きをコントロールしているため、肝臓にダメージが与えられると間接的に横隔膜にもダメージが加わり、結果的に呼吸機能に影響を及ぼします。

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参照:ネッター解剖学アトラス原書第4版図327

肝臓と横隔膜の関係性についてはこちらの記事で詳しくまとめていますので、興味のある人がぜひこちらの記事もご覧ください。

スタミナとは

スタミナとは別名『体力』ともいいます。

この体力とはいったいどんな能力のことなのでしょうか。体力とは一般的に生命活動に必要となる運動能力のことを指し、それをさらに細かく分けると筋力心肺機能の能力を指します。

これらの能力によってその人の疲れにくさを表した言葉がスタミナという言葉になります。

チェック

そのため、スタミナがある人というのは言い換えると筋力や心肺能力が優れている人ということになります。

スタミナに関わる要素

スタミナの要素の一つに心肺機能があります。ではこの心肺機能というのはいったいどのような機能のことを指すのでしょうか。

その機能の一つとして重要なのが最大酸素摂取量という指標になります。

この最大酸素摂取量とは簡単に言うと

単位時間当たりに体内に酸素を取り込む能力のことを指します。

酸素をより多く取り込むことができる人はそれだけ細胞に十分な栄養を運ぶことが可能なため持久力が高い特徴があります。

この最大酸素摂取量を左右する要素としては

肺の中にある肺胞で酸素と二酸化炭素のガス交換の効率

心臓の一回拍出量とそれを体内に送るための運搬能力

体内にある毛細血管の発達程度

筋細胞内にてどれだけの酸素をエネルギーに変換できるか

などの要素が関係します。

これらの要素が高い人は心肺機能が高くそれだけスタミナがある人だということです

持久力が必要なスポーツにマラソンがあります。そのマラソン中に脇腹が痛くなる経験をしたことがある人は多いと思います。実はこの脇腹痛も肝臓や横隔膜が影響しているのをご存じでしたか。

こちらの記事に脇腹痛について詳しくまとめていますので、興味のある人はぜひこちらの記事もご覧ください。

スタミナと肝臓の関係性について

先ほどもお伝えしましたが、肝臓は呼吸に関わる横隔膜ととても関係の深い臓器でもあります。また、肝臓自体には代謝機能があり、体内で利用するためのエネルギーを産生しています。

そのため、肝臓にダメージが与えられることによって

代謝機能の低下によるエネルギー産生の低下

横隔膜の機能低下による最大酸素摂取量の低下

が生じます。

これらはスタミナにはなくてはならない要素になるため、肝臓へのダメージはスタミナの低下に直結します。

そのため、ボクシングではスタミナを削り、大きなダメージを与えるために肝臓を狙ってボディブローをする光景がよくみられるというわけです。

最後に

普段テレビでボクシングを観ていてボディブローをみたときの印象は変わりましたでしょうか。見た目はそれほど効いているようにはみえませんが、内臓機能にはダメージが着実に蓄積しています。そのため、勝つための戦略として内臓機能を理解することはボクシングにとってとても大切になります。

ところで今回の内容ですが私たちは普段ボクシングはやらないので関係ないと思っていないでしょうか?

肝臓は殴らなくても食生活や不良姿勢などによっても機能が落ちてしまいます。そうすると同じように呼吸機能や身体の代謝機能に影響を及ぼす可能性があるのです。

なのでまったく関係ないと思わずに普段の生活をしっかりと見直して肝臓をいたわることはとても大切です。

これからも内臓の知識や情報をお伝えしていきますので、皆さんも自分の身体に興味を持っていただけたらと思います。

本日もご覧いただきありがとうございました。

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