はじめに
内臓脂肪の代表に脂肪肝というものがあります。脂肪肝は肝臓病の中で特に多くみられ、肝臓の細胞に中性脂肪がたまった状態で脂肪性肝疾患とも呼ばれます。脂肪肝のイメージはよくお酒を飲む方に多い印象だと思います。
しかし、実は重症化する脂肪肝はお酒をあまり飲まない人に多いのです。
そこで本日は誰にでもなる可能性のある脂肪肝の特徴について説明していきたいと思います。
肝機能の低下はどうやってわかるの
肝臓の病気は自覚症状のないまま進行してしまうことが少なくありません。その代表例が脂肪肝です。脂肪肝はほとんど自覚症状がないため健康診断で指摘されてはじめて気付く人が非常に多いと言われています。
そのため、定期的に検査を受けながら肝臓に異変が起こっていないかを調べる必要があります。
肝臓の状態をみるもっとも基本的な検査
職場の健康診断を受け後日、検査結果を受け取ったもののいったい何をどうみればいいのか困ったことのある人は少なくないと思います。
そこで肝機能をみるために必ず必要となる3つの検査項目があります。それが以下に示したものになります。
- AST(GOT)
- ALT(GPT)
- γーGTP
この3つの項目は検査結果の用紙で一度は見たことがあるものだと思います。
肝細胞が破壊されるとこれらが血液中に流れ出すため血中の値が上昇します。ただし、AST(GOT)は肝臓以外(心臓や腎臓)の臓器にも存在するため、値の増減が必ずしも肝臓に関係しているとは限りません。
そのため、肝機能をみるときはALT(GPT)も一緒にチェックする必要があります。
γ‐GTPは胆管で作られる酵素であり、肝臓に何か問題があるときや肝・胆道系に閉塞などがあることによって血液中へ漏れ出し数値が上昇します。
またγ‐GTPはアルコールに敏感に反応するため、よく飲酒をされる人は数値が高くなります。このとき、肝臓に問題がなければ飲酒をしてしばらく控えることでγ‐GTPの値は低下しますが、肝臓に問題がある場合はγ‐GTPの値は上昇したままとなるため、この値を診ることでも肝臓の状態をある程度予測することができます。
脂肪肝の原因と対策
脂肪肝の多くは飲みすぎ、食べ過ぎ、肥満といった生活習慣の問題が原因で起こります。そのため、症状の悪化や肝硬変への進行を防ぐにはこうした生活習慣の改善が不可欠です。
具体的には肥満の方は減量が必要です。まずは脂質や糖質を控えた食事と適度な運動で標準体重に戻すことが先決です。
お酒を飲む人の場合は禁酒が理想的ですが、どうしても難しい場合は適量を厳守します。また、その他の生活習慣病を合併している人は血糖値や血圧のコントロールが必要です。
脂肪肝は生活習慣の改善だけで治ることの多い病気です。ただし改善したからといってまた元の生活習慣に戻せば再発してしまいます。肥満しにくい生活を常に心がけるようにしましょう。
お酒を飲まないのに脂肪肝の人はより注意
その原因は明確にはなっていませんが、脂肪肝に何か別の要因が加わることで起こるといわれています。 アルコールなどが原因の脂肪肝では肝臓に炎症が起こったり、線維化することはありません。
しかし、NASHの場合は肝臓に強い炎症が起こることで肝臓が線維化し肝硬変や最終的に肝がんへと移行することがあります。
メタボの人は特に注意
NASHが起こる原因としては内臓脂肪の蓄積やインスリンの働きが悪くなることなどが挙げられます。これはメタボリックシンドロームの基準に当てはまります。
実際にNASHを発症している人の多くは脂質異常症、高血圧、糖尿病のいずれかを合併していることが多いです。男性では30代以降、女性では閉経後が特に太りやすいため注意しましょう。
NASHの場合は体重を5%減らすことで肝機能を表す指標のASTやALTの値が下がるといわれていますので、まずはそれを目標に減量を行いましょう。
メタボの基準を皆さんはご存じでしょうか。こちらの記事にメタボについて詳しくまとめてありますので、ぜひご覧ください。
具体的な生活習慣を見直すポイント
脂肪肝を改善するために必要なのは食事と運動です。
運動療法
おすすめはウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を積極的に行いましょう。時間としては一日20~30分以上行うと効果的です。
また、自宅で効率よく内臓脂肪を燃焼する方法についてはぜひこちらの記事をご覧ください。
食事療法
一日の摂取エネルギーは体重1,0㎏あたり25~35㎉までに抑えましょう。
脂質は摂取エネルギーの20%以下、たんぱく質は体重1,0㎏あたり1~1,2ℊまでにし食物性のもの積極的摂りましょう。糖質は玄米などの炭水化物を中心に摂り、果糖やショ糖の多い菓子類は控えましょう。最後にアルコールは一日に日本酒1合までに控えましょう。
肝臓ストレッチ
運動の前に肝臓ストレッチを行うことで、肝臓の動きが改善し、運動の効果がより高まりますのでぜひやってみましょう。
まず右の肋骨の下に手を入れます。
次に体幹を右に倒し、右の脇腹を強制的に短縮させ緩めます。すると右手が肋骨の中に入りやすくなると思います。肋骨内に右手を挿入していくと肝臓に触れることができます。この状態で30秒から60秒程ゆっくり深呼吸します。
次に肝臓ストレッチに動的ストレッチの要素を取り入れた方法になります。
まずはじめに右肋骨内に手を挿入した状態で右の股関節を屈曲させながら身体を前傾させ腹部の組織を短縮させます。
次に右の股関節を伸展させながら身体を後方へ反るようにし腹部の組織をストレッチします。この動作を10回から20回行いましょう。
最後に
脂肪肝は誰にでもなり得る可能性があります。健康診断などで脂肪肝を指摘されましたら、まずは生活習慣を見直して肝臓に優しい生活を心がけることが大切です。また基本は運動と食事になりますが、肝臓の位置や動きを知り、普段から自身で肝臓のケアをすることでより肝臓の状態を改善することができます。
そのためには自身の身体を知り、自分でケアすることが今後とても大切になります。このブログを読んで少しでもそのきっかけになれば幸いです。
本日もご覧いただきありがとうございました。
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