【理学療法士解説】腕の外側がしびれる原因と改善法/放置してはいけない理由とは?

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【最終更新日:2025年10月10日】

はじめに

皆さんは何気ないときに腕が痺れたことはありますか?

腕の外側がしびれる…」「感覚が鈍くて力が入りにくい

そんな症状に悩んでいませんか?

一見、単なる疲労や姿勢のせいに思える腕のしびれですが、神経や筋肉の圧迫、姿勢の崩れなど、さまざまな原因が関わっていることがあります。

例えば腕枕をした後や腕に何か衝撃が加わると痺れたと感じたことがある人は意外と多いと思います。

腕にはいくつかの神経が通っており、その神経の影響によって痺れが生じます。

内臓小僧
内臓小僧

僕もよく肘をついてテレビを見ていると腕が痺れることがあるよ。一回痺れるとすごく腕が痛くなって辛いよね。

腕にはとても多くの神経が存在し、それぞれの神経で支配している領域が異なります。

本記事では、理学療法士の視点から「腕の外側のしびれの原因と対処法」をわかりやすく解説します。

腕の外側がしびれるときに考えられる主な原因

腕の外側(親指側・上腕の外側)にしびれが出る場合、以下のような要因が関係していることが多いです。

① 筋皮神経(きんぴしんけい)の圧迫

腕の外側の感覚を司る神経の一つが「筋皮神経」です。

この神経は肩の前(烏口腕筋)から上腕の外側を走行し、感覚を伝えています。

筋皮神経が痺れる主な原因

長時間のデスクワークやスマホ操作

肩を前に丸めた姿勢(巻き肩)

肘を曲げ続ける動作

筋トレなどでのオーバーユース(使いすぎ)

筋皮神経が筋肉の間で圧迫されると、上腕外側〜前腕外側にかけて「ピリピリ」「ジンジン」とした感覚が現れることがあります。

② 首(頚椎)からくる神経の圧迫

腕の神経はすべて首(頚椎)から出ています。

首の椎間板や関節の変性(ストレートネック、ヘルニアなど)により、神経根が圧迫されると腕にしびれが出ることがあります。

頸椎からの痺れの特徴

首や肩のコリと同時に痛みがある

振り向く、うつむく動作でしびれが強くなる

手の親指〜人差し指の感覚が鈍くなる

これは「頚椎症性神経根症」と呼ばれ、放置すると感覚低下や筋力低下につながることもあります。

③ 筋肉のこり・硬さによる神経の圧迫

上腕二頭筋、烏口腕筋、前腕の伸筋群などが硬くなることで、神経や血管が圧迫されます。

筋肉が緊張していると、神経が滑らかに動かず、しびれやだるさを引き起こします。

筋肉の硬さから痺れる場合の注意点

長時間のパソコン操作やスマホ使用

重い物を持つ仕事や家事

筋トレのフォーム不良(アームカールなど)

筋肉の柔軟性が落ちると、血流も悪化し、しびれが慢性化しやすくなります。

④ 血流障害・冷え

腕の血管が圧迫されることで、神経への酸素供給が不足し、しびれを感じるケースもあります。

寒い時期や冷房の効いた環境では、筋肉が緊張して血流が低下するため注意が必要です。

⑤ その他の疾患

胸郭出口症候群(鎖骨や肋骨の間で神経が圧迫される)

糖尿病性神経障害、

末梢神経炎(神経の炎症)

これらの疾患が背景にある場合もあり、症状が長引くときは医療機関での診察が必要です。

今回は腕の外側の痺れの原因の一つである『筋皮神経由来の痺れ』について詳しくお伝えしたいと思います。

腕の外側を走行する神経

まず腕の外側が痺れる原因の一つとして外側前腕皮神経があります。

こちらの神経は筋皮神経という神経が枝分かれした神経の一つで前腕の外側を走行しています。

こちらの神経が外から圧迫をされたり周りの筋肉が硬くなることで神経をの滑走性が低下し神経由来の痺れが生じます。

筋皮神経由来の痛みの確かめ方

今回ご紹介する筋皮神経由来の痺れかを確認する方法を一つご紹介したいと思います。

まず筋皮神経の走行は腕神経叢の外束から分岐し、烏口腕筋を貫通し、上腕二頭筋と上腕筋の間を走行します。その後肘窩の橈側で筋膜を貫き、外側前腕皮神経として前腕橈側(外側)の感覚を支配します。

そのため、筋皮神経の走行をイメージして神経をあえて伸長させたときに痺れが生じた場合、筋皮神経由来の痺れが原因の可能性があります。

筋皮神経をストレッチさせる方法は腕を伸展回内位にすることです。

そして腕を伸展•回内したときにしびれが増強するのかを確認します。

筋皮神経由来の筋力低下について

筋皮神経は上腕二頭筋や上腕筋を支配している神経になります。そのため、筋皮神経に問題がある場合肘の屈筋筋力が低下することがあります。

そのため、筋皮神経由来の問題が生じた場合の確認方法としてもう一つあるのは肘を曲げる力の左右差を確認することがとても重要になります。

ご自宅で簡単にできる方法としてはペットボトルに水を入れた状態でそれを持ち上げた時の感覚をみる方法があります。もし健側と比較して患側側の方がペットボトルが重たく感じたり、筋皮神経支配領域に痛みを伴う場合、筋皮神経由来の問題が示唆されます。

上腕二頭筋筋力を確かめる場合は前腕を回外した状態で肘を曲げる力を確認します。

上腕筋を確かめる場合は前腕を回内した状態で肘を曲げる力を確認します。

この二つの筋力の左右差を確認し、もし痺れが生じている側の肘の力が弱い場合その原因は筋皮神経由来の問題の可能性が高いということになります。

よく間違われやすい病態

筋皮神経由来の痛みとよく間違われやすい症状の一つに外側上顆炎(テニス肘)があります。筋皮神経由来の痛みも外側上顆炎による痛みも同様に肘外側から前腕外側にかけての鈍痛や脱力を訴えることが特徴になります。

このとき2つの病態を鑑別する一つのポイントは疼痛の訴えている部位に『圧痛』があるかないかということです。筋皮神経由来の症状の場合疼痛がある部位の圧痛所見がないことが多いです。

また、外側前腕皮神経領域の知覚障害の有無を確認した上で、烏口腕筋の過緊張や圧痛を確認することも重要なポイントとなります。

腕のしびれを軽減する方法

烏口腕筋のリリース

烏口腕筋は鎖骨の下にあるポコッとした骨の出っ張りの部分でこれは肩甲骨の一部になります。そしてこの烏口突起から上腕の内側にかけて走行するのが烏口腕筋になります。

そのため、烏口腕筋をリリースするために重要なポイントは

烏口突起周辺

上腕内側

の2つのポイントをしっかりと緩ませることが重要になります。

烏口突起周辺のマッサージ

鎖骨の下側を肩の方に向かって触れていくとポコッとした骨に触れることができます。これが烏口突起になります。

烏口腕筋はこの烏口突起に付着しているため、この烏口突起の周りをゆっくりとほぐすようにマッサージします。この烏口突起周辺はとても痛みを感じやすいため、あまり強く圧迫することは控え、ゆっくりほぐすようにしながらマッサージすると良いと思います。

上腕内側のストレッチ

今回ご紹介する方法は壁を使って上腕内側にある烏口腕筋をストレッチする方法になります。

まず壁に指先を地面に向けた状態で手をつきます。

次に胸を開きながらゆっくりと腕を後ろに伸ばしていきます。

このとき肩が前にでないようにしながらしっかりと胸を開くことがポイントになります。

この状態で20秒から30秒ゆっくりストレッチします。

もしこの姿勢をとることで痛みを伴う場合は直接上腕内側をマッサージしても良いです。このとき強くマッサージをすると神経を刺激して痺れが生じる可能性があるため、優しくゆっくりほぐすように行ってください。

受診が必要なケース

次のような症状がある場合は、整形外科や神経内科を受診してください。

しびれが数日〜数週間続く 力が入りにくく、物を落とすことがある

痛みやしびれが夜間に強くなる

片側だけでなく両腕に出る

感覚が鈍く、触っても感覚が薄い

このような場合は早期に原因を特定し、適切なリハビリ・治療を受けることが重要です。

理学療法士が教える再発予防のコツ

スマホ・PC操作時は肘を90°に保つ  

肘を曲げすぎると筋皮神経が圧迫されやすくなります。

休憩をこまめに取る  

1時間に1回は腕を回したり、肩をすくめたりして血流を促進。

適度な運動を継続  

ウォーキングや軽いストレッチを毎日続けると、末梢循環が改善します。

冷え対策  

寒い季節はアームウォーマーや温熱パッドで腕を冷やさないようにしましょう。

最後に

みなさんいかがでしたか。

腕の痺れは意外と身近に感じている人が多いのではないでしょうか。腕が痺れた時にその対処法を知っていると慌てずに済むことも多いと思います。

今回の記事を読んで少しでもそのお役に立てれたら幸いです。

理学療法士として回復期病院6年、整形外科クリニック8年勤務し、日々多くの方のリハビリや身体の不調に向き合ってきました。

その中で「予防・セルフケア」の大切さを実感し、STOTT  PILATES認定Fullインストラクターの資格を取得し理学療法士をしながらピラティスインストラクターとしても9年活動しております。

今では内臓ストレッチマスタートレーナー、BODY  CONTROL  PILATES認定産前・産後インストラクター、pifilAtes認定インストラクターとしても活動し身体の内側から整えるケアもお伝えしております。

このブログは医療とピラティス両方の視点から『身体が変わるヒント』をお届けしています。

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