片足立ちでふらつく原因とは?足が弱くなるメカニズムを理学療法士が徹底解説

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【最終更新日:2025年11月7日】

はじめに

「片足で靴下を履くときにグラッとする」「立ち上がった瞬間によろめくことが増えた」——そんな経験はありませんか?

片足立ちでふらつくということは、体のどこかに“安定性の低下”が起きているサインです。

ふらつきを放置してしまうと、歩行のバランスを崩しやすくなり、将来的な転倒や腰痛、膝痛のリスクにもつながります。

この記事では、理学療法士として臨床経験を積んだ私が、

「片足立ちでふらつく原因」「足が弱くなる仕組み」「改善のためのチェックとトレーニング方法」

をわかりやすく解説します。

片足立ちは“体の総合力”を測るバロメーター

片脚立位をみる要素として私が意識するのが

保持時間

安定性

の2つの要素になります。

片足で安定して立つためには、足部足関節股関節体幹のすべてが連動して働く必要があります。

そのため、片足立ちが不安定になるということは、どこか一つでも機能が落ちている証拠です。

理学療法の分野では、「開眼片脚立位保持時間」は転倒リスクの評価項目の一つとして用いられています。

一般的な目安としては、

開眼(目を開けた状態)で15秒未満 → 運動器不安定症の可能性

閉眼(目を閉じた状態)で5秒未満 → 転倒リスクが高い といわれています。

つまり、片足立ちでのふらつきは単なる“筋力の衰え”ではなく、神経‐筋バランスの低下を示す重要なサインなのです。

片足立位保持時間の目安

片足立位保持が開眼した状態で15秒未満の人は運動器不安定症の可能性があります。

片足立位保持が閉眼した状態で5秒未満の人は転倒リスクが高い。

片脚立位保持が開眼した状態で20秒未満の人は転倒リスクが高い。

片足立ちの安定性をみるポイント

片足立位はただ単に片足で立つことができればよいということではありません。

片足立ちになった際に片足がしっかりと地面を踏みながら安定してその状態を保持できることが重要になります。

そして片足立ちの際に両肩の高さが地面と平行、膝とつま先の向きがそろった状態が理想となります。

片足立位の安定性をみるポイント

片足立位の安定性をみるときに重要なのが足底がしっかりと地面をしっかりと踏み込んだ状態で関節が安定している状態をいいます。片足立位が安定するということは身体に動揺がなくまた立脚側の足部から引いた垂線上を頭部の中心が通った状態で保持できているのかがポイントになります。

自分でできる「片足立ち」チェック方法

① 片足立ち保持テスト

壁や椅子のそばに立ち、安全を確保します。 片足を少し浮かせ、タイマーをスタート。 揺れたらストップし、保持時間を確認します。

片足立ち保持時間の目安

20秒以上:良好

10~20秒:注意

10秒未満:筋力・バランス機能の低下傾向

② 姿勢と揺れのチェック

片足立位が不安定な人によくみられるのが

足首がグラグラする

膝が左右に動揺する

骨盤が捻じれる

身体が横や前後に倒れる

などがあります。片足立ちになった際にこのような状態になるような場合は片足立ち保持能力が低下している可能性があります。

片足立ちでふらつく主な原因

1.足部アーチの崩れと足底筋の弱化

足の裏には「内側縦アーチ」「外側縦アーチ」「横アーチ」と呼ばれる3つのアーチ構造があります。

これらがバランスよく働くことで、地面をしっかり踏みしめ、体の重心を支えています。

しかし、長時間の座り姿勢や運動不足が続くと、足底の筋肉(足底筋群や後脛骨筋など)が弱まり、アーチが崩れやすくなります。

足底のアーチが低下した足を【回内足】といいます。

回内足とは足部の踵骨という骨が内側に倒れてしまっている状態をいいます。

踵骨が内側に倒れると足部内側(内くるぶし側)の組織が伸長され、反対に足部外側(外くるぶし側)の組織が短縮します。すると足部の可動域が低下するだけではなく、足部のアーチが低下し力が発揮しずらい状態となります。

特に**回内足(かいないそく)**と呼ばれる、踵が内側に倒れた状態では、片足で立ったときに体が内側に倒れやすく、ふらつきが起こりやすくなります。

チェック

回内足なのかを判断する方法として立位の状態で後ろから足部を見たときに小趾が外側から見える場合は回内足の可能性があります。

理学療法士の視点

後脛骨筋は、アーチを引き上げる“天然のサポーター”のような筋肉です。この筋が働かなくなると、足底のセンサー機能が鈍り、上半身のバランスにも悪影響が及びます。

2.股関節・体幹の安定性低下

片足立ちでは、体重のほとんどを一本の脚で支えます。

このとき、中臀筋(ちゅうでんきん)や大腿筋膜張筋といった股関節外側の筋肉が働き、骨盤の傾きを防ぎます。

これらの筋肉が弱ると、骨盤が横に傾き、重心が揺れやすくなります。

その結果、「膝が内側に入る」「足首がグラグラする」といった連鎖が起き、ふらつきにつながります。

さらに、体幹の筋群(腹横筋・多裂筋など)がうまく働かないと、“上半身のブレ”を止められなくなるため、安定した片足立ちは維持できません。

体幹機能を高める方法についてはこちらの記事にまとめていますのでぜひあわせてご覧ください。

3.感覚入力(神経系)の低下

足の裏は、身体の“センサー”としての役割を持っています。

足底や足首の関節、内耳(前庭系)などからの情報をもとに、脳がバランスを調整しています。

この神経系の働きが鈍くなると、筋肉の反応が遅れ、「グラッときたときに踏ん張れない」状態になります。

年齢とともに低下しやすい部分ですが、適切な運動で回復可能です。

他にも片足立ちに不安を抱えている人のための記事を書いていますので、興味のある人はぜひこちらの記事もご覧ください。

片足立ちを安定させるエクササイズ

回内足を安定させるために重要なのが後脛骨筋の筋力を高めることが重要になります。後脛骨筋は足部を内返しする作用のある筋肉で足部の内側アーチを安定させる筋肉でもあります。

そのため、足部の安定性を高めるうえでとても重要な筋肉の一つになります。今回はこの後脛骨筋に効率よく刺激を入れながら足部の安定性を高める方法を一つご紹介したいと思います。

まず左右の母趾をくっつけ、踵を離した状態で立位になります。そしてこの立位の状態で足底全体が地面に着いた状態でやや小趾側に体重を多く乗せます。

ポイント

この時のポイントは小趾側に体重を乗せていても母趾球はしっかりと地面に付けた状態を保つということです。母趾球を地面にしっかりとつける力がつくことは足部の安定性を高めるのに最も重要な要素になります。

次にゆっくりと踵を持ち上げ前足部で体重を支えるようにしてバランスをとります。このときしっかりと母趾球で地面を押すことを意識しながら行うことでより後脛骨筋に刺激を加えることができます。この動きを一日20回×3セット行います。

小趾側に荷重を乗せた状態で母趾の押す力がつくことで片足立ちの安定性が飛躍的に高まります。普段の生活の中で片足立ちになる機会があるときに意識をしてバランスをとってみましょう。

理学療法士が伝えたい「片足立ち改善のコツ」

“立ち方”を意識するだけでも変わる  

足底全体で床を押し、体の軸を真上に伸ばす意識を持ちましょう。  立つ瞬間に「足裏→骨盤→頭頂」が一直線になるイメージが重要です。

動作は“ゆっくり・丁寧に”行う  

速い動きよりも、ゆっくりコントロールする方がバランス能力の再学習につながります。 毎日少しずつ続ける  片足立ちの安定性は“反復”でしか養えません。  歯磨きや料理中など「ながら片足立ち」でも構いません。

まとめ:片足立ちは“全身の健康バロメーター”

片足立ちのふらつきは、単に足の筋力不足だけでなく、

足部・股関節・体幹・神経系といった全身の連携低下が原因です。

この記事で紹介したチェックとエクササイズを実践することで、

「立つときの安定感」「歩くときの安心感」「姿勢の整い方」が確実に変化していきます。

バランスの良い体は、腰痛や膝痛の予防にも直結します。

ぜひ今日から、1日5分の“片足立ちトレーニング”を生活に取り入れてみてください。

理学療法士として回復期病院6年、整形外科クリニック8年勤務し、日々多くの方のリハビリや身体の不調に向き合ってきました。

その中で「予防・セルフケア」の大切さを実感し、STOTT  PILATES認定Fullインストラクターの資格を取得し理学療法士をしながらピラティスインストラクターとしても9年活動しております。

今では内臓ストレッチマスタートレーナー、BODY  CONTROL  PILATES認定産前・産後インストラクター、pifilAtes認定インストラクターとしても活動し身体の内側から整えるケアもお伝えしております。

このブログは医療とピラティス両方の視点から『身体が変わるヒント』をお届けしています。

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