はじめに
皆さんは呼吸をする時にしっかりと息を吸って吐くことができていますか。呼吸は普段無意識に行なっているため、呼吸がうまくできないと認識することはとても難しいです。
ですが、呼吸がうまくできない人は
夜ぐっすり眠ることができない
疲れがなかなかれとれない
肩や首周りが凝る
といった症状を伴いやすくなります。
呼吸がうまくできていないとこんなに身体に影響が出るんだね。
そこで今回は呼吸がうまくできるようになるためのセルフケアの方法についてお伝えしたいと思います。
浅い呼吸を判断するアイテム
呼吸が浅いと一言でいってもどのような状態になると呼吸がうまくできていないか判断することはとても難しいです。最近ではコロナの影響でサチュレーション(動脈血酸素飽和度SpO2)という血液中の酸素量をみる機会がよくニュースなどで流れていたかと思います。このサチュレーションを測定する機会をパルスオキシメーターといいます。
動脈血酸素飽和度(SpO2)の基準値
正常値:96%~98%
【コロナに感染した場合の基準】
軽症:96%以下
中等度Ⅰ:93%~96%
中等度Ⅱ:93%以下
実際に私が病院勤務をしているときに呼吸状態が悪くサチュレーションが低い患者様に呼吸機能を高めるためのリハビリを行ったところサチュレーションの数値が大幅に改善したことがよくありました。
そのため、実際に自分用に一つサチュレーションを持っていると今回ご紹介する胸郭の動きを改善するエクササイズをやる前とやった後でサチュレーションの数値に違いが出るか確認することができますので、ぜひ一つ自宅用にサチュレーションを準備しておくことをおすすめします。
また、これからコロナがまだまだ流行する可能性がありますのでそのようなときも必ずサチュレーションは役に立つものだと思いますので、体温計などと一緒に管理するととても良いと思います。
良い呼吸とは
人の身体の中で呼吸機能に関わる最も大切な部位は『胸郭』になります。
この胸郭の動きがしっかりと機能していることで効率よく息を吐いたり吸ったりすることができます。
つまり浅い呼吸の人はこの胸郭の動きに制限がある可能性があります。
胸郭の動きについてはこちらの記事に詳しく書いてありますので、ぜひご覧ください。
呼吸が浅い人の胸郭
呼吸が浅い人に多いのが猫背姿勢になります。猫背というとなんとなく皆さんも想像できると思いますが、前胸部が開かず息が吸いずらそうですよね。そのイメージはあながち間違っておらず、猫背というだけで胸郭の動きは大幅に制限されます。
そこで今回は胸郭の動きに着目して説明したいと思います。
呼吸が浅い人の上部胸郭
まず胸郭は大きく分けて上部胸郭と下部胸郭に分かれます。
上部胸郭の動きは簡単に言うと
呼気で下方に下がる
吸気で上方に持ち上がる
下部胸郭の動きは簡単に言うと
呼気で内側に向かって閉じる
吸気で外側に向かって開く
があります。
そしてこの胸郭の動きに制限が生じると無意識にそれを代償し効率の悪い呼吸をするようになります。
その効率の悪い呼吸の一つに肩呼吸があります。
それでは一度目を閉じてみましょう。
次に大きく息を吸ってゆっくりと息を吐いていきます。
この時に身体のどこの部分が一番動くのかを確認してみます。
胸郭がよく動いたという人は効率の良い呼吸ができていると思います。
しかし、一番動いた部位が肩や首周りという人は呼吸がうまくできていないサインになります。
そのため、この呼吸に合わせた上部胸郭と下部胸郭の動きを引き出し、肩や首の力を抜くことが呼吸機能を高めるのにとても重要な要素となります。
浅い呼吸の人のチェックポイント
私が普段臨床で呼吸が浅いと思う人は以下のような特徴があります。
首や肩周りの筋肉がいつも硬い
呼吸をするときに肩が上下に動く
鼻呼吸が苦手
どれか一つでも当てはまるという人は呼吸が浅い可能性がありますので、今回ご紹介するストレッチを行い胸郭の可動性を高めましょう。
特に呼吸が浅いと硬くなる筋肉に斜角筋があります。
この斜角筋は僧帽筋と胸鎖乳突筋の間から触ることのできる筋肉になります。この斜角筋を押した時に圧痛がないか一度確認してみましょう。
深い呼吸になるセルフエクササイズ
それでは今から胸郭の動きを引き出すストレッチをご紹介したいと思います。
上部胸郭の上下の動きを引き出すストレッチ
この上部胸郭の動きを引き出すのにとてもおすすめなアイテムがアークバレルになります。
まずこのアークバレルの上に仰向けになります。すると胸郭の前面が拡がり、上部胸郭を上方へと誘導してくれます。
次に胸郭を下方へ下げる意識でゆっくりと上体を持ち上げます。この上体を持ち上げるとき胸郭の背側が広がるイメージで行うことがポイントになります。
この動きをゆっくり20回行います。
下部胸郭の左右の動きを引き出すストレッチ
バレルの上に横向きになります。このときバレルの最も凸の部分に胸郭のやや下側を当てることでより対側下部胸郭の拡張を促すことができます。
次にこの状態で上側の上肢を挙上します。
挙上した上肢を斜め上方へと突き出すことで肩甲骨の上方回旋が促され、さらに胸郭の側面の拡張を促すことができます。この動きを左右20回行いましょう。
最後に
皆さんいかがでしたか。呼吸が浅い人は胸郭が硬くなっている可能性が高いです。若いうちはそれほど気にならないかもしれませんが、この状態を放置しておくことで
疲れやすくなった
姿勢が悪くなった
熟睡できない
などさまざな影響がでやすくなります。
今回の記事を読んで少しでも当てはまると感じた人はぜひ胸郭のストレッチを毎日行なってみましょう。
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