はじめに
鏡を見ると背中にある肩甲骨が浮き出ているという人がいます。見た目では背中に羽が
生えているような見た目でそれを気にしている人もいるかと思いますが、この肩甲骨の状態はただ見た目が気になるというだけではなく、身体の機能にも大きく影響を及ぼす可能性があることをご存じでしょうか。
このような肩甲骨が浮いた状態になることで
肩や首が凝りやすい
重たい物を持つときに腕に力が入りにくい
肩や腕がすぐに疲れる
といった症状を伴いやすくなります。
そこで、今回はこのような浮き出た肩甲骨を正しい位置にもどすための方法についてお伝えしたいと思います。
肩甲骨の特徴
肩甲骨という骨は上胸部にある鎖骨としか関節を持たないため背中にある肋骨の上を滑るようにして動く可動性を持っています。そのため、肩甲骨の特徴としては自由度の多い可動性を持つことが特徴になります。
しかし、自由度が多いというのは言い換えると不安定になりやすいというデメリットもあります。
肩甲骨が浮き上がるとは
肩甲骨が浮いているとは言葉の通り肩甲骨が背中から浮き上がったように見えている状態ことを指します。この浮き上がった肩甲骨を翼状肩甲ともいいます。
肩甲骨は先ほども申し上げたように周囲にある筋肉によって安定性を高めている構造になっています。周囲にある筋肉によって肩甲骨が安定することによって肩甲骨が胸郭に張り付くような状態となります。そして胸郭に肩甲骨が張り付いた状態でその上を滑らかに滑走することによって肩甲骨の本来持つ機能を最大限に発揮することができます。
しかし、肩甲骨の周りにある筋肉の筋力低下が生じると、この肩甲骨が胸郭に張り付く力が低下してしまい、結果的に肩甲骨が胸郭から浮いてしまうという状態に陥ってしまいます。
また、肩甲骨の周りにある筋肉の柔軟性が低下してしまう場合も肩甲骨を異常な方向に引っ張ってしまい、適切な位置から肩甲骨が逸脱してしまうことで結果的に肩甲骨の一部が胸郭から浮いてしまう場合もあります。
肩甲骨の機能が低下することで問題になる部位の代表が『肩』になります。肩についての記事は他にもまとめてありますので、興味のある人はぜひこちらの記事もご覧ください。
肩甲骨が浮き上がる原因
肩甲骨が浮き上がる原因をみるときに大切になるのが肩甲骨のどの部分が浮いているのかを確認することです。
肩甲骨の内側縁が浮いている
肩甲骨の内側が浮いている人は前鋸筋や僧帽筋の中部・下部線維の筋力低下が影響している可能性があります。
また前鋸筋は肩甲骨を胸郭に張り付けるためのとても重要な筋肉になります。そのため、前鋸筋の機能不全が起こると肩甲骨の全体が浮き上がるような症状もみられるようになります。
肩甲骨の下側(下角)が浮いている
肩甲骨の下側(下角)が浮いている人は胸にある筋肉の一つでもある小胸筋の柔軟性が低下している可能性があります。
肩甲骨のセルフケアの方法
肩甲骨の内側縁が浮いている人
肩甲骨の内側が浮いている人は僧帽筋の中部・下部線維を鍛えることが重要になります。
まず腕の動かし方からです。
はじめに腕を頭上に向かって伸ばします。
そのまま肘を脇に引き寄せるようにしてアルファベットの『W』の形を作ります。この肘を引くタイミングで背中にある僧帽筋を意識することでより効果がアップします。
この腕を動きをうつ伏せの状態で行うことでより背部の筋肉に刺激を加えることができます。このエクササイズを10回~20回を目標に行いましょう。
肩甲骨の下側が浮いている人
肩甲骨の下側が浮いている人はまず小胸筋のリリースをすることがとても重要になります。
烏口突起の周辺をほぐしたら徐々に前胸部にある肋骨のマッサージも行いながら小胸筋を緩めていきます。
最後に圧迫しながらゆっくりを腕を回し小胸筋の滑走性を引き出します。
小胸筋を緩めたら肩甲骨を後傾させるように誘導します。
まず手を組んだ状態で腰に手を回します。
次に手を下方に向かって引っ張り胸を広げながら肩甲骨を下方へと引っ張ります。この状態で20秒キープします。
肩甲骨が全体的に浮いている人
肩甲骨が全体的に浮いている人は肩甲骨周囲(特に前鋸筋)の筋力が低下している可能性があります。そのため、まずはプッシングによって肩甲骨を胸郭に引っ付ける練習をします。
まずはバスタオルなどを丸めて棒状にしたものを両手で持ち肘を伸ばした状態で手を天井に持ち上げます。
この状態で肘を伸ばしたまま棒をさらに天井に突き上げます。
次に肘を伸ばしたまま突き出した腕をもとの位置にもどします。このとき、肘が曲がらないように注意しましょう。
この動きによって手で押すイメージが分かるようになってきますので、感覚が掴めて来たら四つ這いの状態で手で地面を押すように力を入れます。すると肩甲骨が背中にペタッとくっつくような状態になっているかと思います。
この状態で片手や片足を持ち上げてもくっ付いた肩甲骨が維持できるように練習をしてみましょう。このエクササイズを左右20回ずつを目標に行いましょう。
最後に
皆さんいかがでしたか。肩甲骨は背中にあるためなかなか自分では気付きにくい部位でもありますが、見た目や身体の機能性においてとても重要な場所です。
肩甲骨の浮き方によってどの筋肉が弱いのか、もしくはどの筋肉が硬いのかを大まかに予想することができます。
自分では分かりづらい人はだれか身近な人に一度みてもらい、自身の肩甲骨が今どうなっているのかを確認してみましょう。
そしてもし、今回の記事に当てはまるという人はセルフエクササイズを地道に行い肩甲骨に変化がでるように頑張っていただけたら幸いです。
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