はじめに
左右で股関節の硬さに違いがあると感じている方は意外に多いと思います。人は利き手、利き足があるため左右全く同じという方は逆に少ないかもしれません。また普段から横座りをよくしたり、同じ側に向かって身体を捻る機会のある人などは特に股関節の硬さに左右差を生じている可能性があります。
股関節は骨盤に直接連結しているため、股関節の硬さに左右差があると骨盤の歪みを助長する原因になります。
そこで今回は股関節の硬さの左右差を解消し骨盤の歪みを改善する方法についてお伝えしたいと思います。
股関節が開くために必要な要素
股関節が開くために必要になる動きは
股関節屈曲
股関節外転
股関節外旋
の3つの動きが必要になります。
また股関節が開くのと同時に骨盤の前面がやや開きながら後傾する動きが協調的に起こります。
そのため、股関節の開きに問題がある方は股関節だけではなく、骨盤の歪みも原因になっている可能性があります。
股関節が開かない原因
先ほども説明しましたが、股関節の開きには股関節以外にも骨盤の動きが影響します。それらは考慮すると特に股関節の開きに影響しやすい要因として
恥骨結合のずれ
大腿骨頭の前方偏位
内転筋の滑走不全
があります。
そこで、今回はこの中で骨盤の一部でもある恥骨結合のずれに対する対処法を中心にお伝えしたいと思います。
大腿骨頭の前方偏位に関してはこちらの記事に詳しく書いてありますので、ぜひご覧ください。
恥骨結合のずれとは
まず恥骨結合とは骨盤の一部でもある左右の恥骨の連結した部分になります。
恥骨結合のずれは一般的に一側恥骨の下制と対側恥骨の挙上によって起こります。これは寛骨の前後傾と連動して起こり、恥骨下制側は寛骨が前傾、恥骨挙上側は寛骨の後傾が生じます。
恥骨結合に上下方向のずれが生じると上恥骨靭帯や恥骨弓靭帯が緊張します。また長内転筋の起始部の腱が恥骨弓靭帯と連結しているため、恥骨にずれが生じることで内転筋の左右のバランスが崩れる原因になります。
股関節の可動域に制限が生じることで痛みを伴いやすい状態になります。そのようなことでお困りの方はこちらの記事もご覧ください。
恥骨結合のずれの確認方法
恥骨結合のずれを確認する方法についてお伝えしたいと思います。
開排動作による可動域チェック
股関節を開いたときに膝の高さに左右差がないのかを確認します。もし開きに左右差がある場合は膝が高い側の股関節の開きに問題がある可能性があります。
骨盤の一部であるASISの高さチェック
骨盤の前方にある出っ張った骨の部分を上前腸骨棘(ASIS)といいます。このASISの高さに左右差がないのかを確認します。
もし左右差がある場合はこのような感じに高さに違いが生じます。一度確認してみましょう。
足の開きを改善する方法
足の開きに制限が生じている側の修正方法としてまず重要になるのが骨盤の前後傾による捻じれの修正と下制した側の恥骨を挙上させることがポイントになります。そのために
骨盤前傾側の鼠径部の滑走性向上
骨盤後傾側の殿筋群の滑走性向上
左右非対称になっている体幹筋の修正
を図ります。
鼠径部のリリース法
鼠径部にはいくつかの筋肉が存在しそれらが硬くなると股関節の開きに制限をきたしやすくなります。そのため、今回は特に鼠径部の詰まりの原因になりやすい腸腰筋のリリース法についてお伝えします。
腸腰筋は大腰筋と腸骨筋に分類されます。そのため、まずは大腰筋のリリース法からお伝えします。
鼠径部をリリースする側の膝を立て、対側の下肢は抱え込んだ状態で仰向けになります。
次に腹直筋の外側から腰椎に向かって深層部に圧を加えます。すると大腰筋に圧がかかるので圧迫を加えた状態でやや頭側へと抵抗を加えておきます。
圧を加えたまま同側の下肢をゆっくりの伸ばしていくと腹部から股関節の前面にかけて伸長感が得られると思います。この状態でゆっくりと30秒から60秒程深呼吸をすると徐々に大腰筋がリリースされます。
次に腸骨筋のリリース法についてです。
膝を立てた状態で骨盤の一部でもある上前腸骨棘(ASIS)を探します。
ASISをみつけたらその内側に手を置き、ゆっくりと深層部へと圧を加えていくことで腸骨筋に触れることができます。
腸骨筋に触れた状態で膝を内側、外側へとゆっくり倒していくことで徐々に腸骨筋がリリースされます。
殿筋群のリリース法
殿筋群の滑走性が低下することで骨盤の柔軟性に影響を及ぼします。そのため、今回は殿筋群のリリース法のにいてお伝えしたいと思います。
今からご紹介する方法は右側の殿筋群をリリースする方法になります。
まず右膝を立てその上に左足を乗せます。
そうしたら左足で右膝を内側に引っ張るようにして倒していきます。すると右の殿筋が伸ばされリリースすることができます。このとき肩甲骨が地面から離れないように注意しましょう。この状態で30秒から60秒キープします。
体幹筋の修正法
体幹筋の左右バランスの崩れは恥骨の偏位の原因となります。体幹筋の一つでもある腹直筋は恥骨に付着しています。
そのため、左右の腹直筋に出力の違いが生じてしまうと恥骨を偏位させてしまう原因になります。
例えば右恥骨が下制している場合、右恥骨の挙上を目的として右側の腹直筋の収縮を促すことが大切になります。
今回はその方法の一つをご紹介したいと思います。
今からご紹介するのは右の恥骨が下制している場合の方法になります。
まず仰向けに寝ます。この状態で恥骨が挙上している左側の足底に抵抗を加え、それに対して膝を伸ばした状態で押し返すように力を入れます。
これにより右側の腹直筋の活動を促すことができます。右側の腹直筋の活動が活性化することで右の恥骨を挙上する方向に誘導することができます。
最後に
片側の股関節の開きが硬い方は左右の身体のバランスが崩れている可能性が高いです。そしてそれはさまざなな身体の部位に悪影響を及ぼします。
また股関節は足と骨盤をつなぐ要の部位のため、股関節の機能が低下することで身体の歪みを助長してしまいます。
今回の記事を読んで当てはまるところがある方は痛みや不調が出る前にぜひ股関節の状態を改善しましょう。
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