はじめに
皆さんは普段お腹を壊しやすいと感じたことはありませんか。お腹を下しそうになるとなんともいえないお腹の痛みを伴います。
この痛みには波があり、仕事中などにこの症状がでるととてもつらいものです。私自身もこのような症状で悩まされたことがあり、そのようなときはひたすら耐えるようにして我慢した記憶があります。
私は普段理学療法士として働いている傍ら内臓ストレッチインストラクターという資格を駆使しながら普段の臨床を行っています。
内臓ストレッチの知識を学ぶ中で腸の特徴を知り、その中でも腸の問題の一つでもある『下痢』についても学ぶ機会がありました。
そのため今回は下痢になってしまう原因とそのポイント、そして腸のマッサージ方法についてお伝えしたいと思います。
下痢とは
下痢にもさまざまなものがあり、消化不良による下痢、牛乳などのアレルギーによる下痢、ストレスによる下痢などは日常的なものであり、多くの人が体験することです。
一般的に下痢は「1日の糞便中の水分量が 200ml以上(または、1日の糞便の重量が 200g以上)」と定義されています。
大腸の役割
皆さんは大腸の役割をご存じでしょうか。意外と聞かれるとわからない人が多いかと思います。
しかしその水分を吸収することができないと結果的に下痢になってしまうのです。
腸活の記事についてはこちらにまとめてありますので、ぜひこちらの記事もご覧ください。
下痢の種類
浸透圧性下痢:食べ過ぎ、飲み過ぎなどによる消化不良が原因で起こるもの
分泌性下痢:腸内細菌により腸液などの分泌が多くなることで起こるもの
蠕動運動性下痢:過敏性腸炎などにより蠕動運動が亢進し便の水分吸収が間に合わないとき起こるもの
こんなときはすぐに病院へ
- 今まで感じたことのない下痢
- 血便がある
- 腹痛がずっとある
- 下痢以外にも発熱や嘔吐などがある
このような症状がある場合は腸に重篤な問題が隠れている可能性がありますので一度かかりつけの病院に相談に行くことをおすすめします。
腸の中で便の水分を吸収するのはどこ?
大腸は盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S字結腸、直腸に分類することができます。
そのため、下痢の方はこの上行結腸の滑走性を引き出し水分の吸収を促すことで下痢に対するアプローチが可能となります。
下痢に効くポイントとは
下痢に効くポイントの上行結腸をどうやってアプローチすればいいのか?
それにはまず上行結腸がどこにあるのかが分からないとアプローチのしようがありません。
そのため今回は横行結腸を見つけるポイントを一つお伝えします。正直この記事の中でここが一番のポイントになります。
ずばり上行結腸を見つけるには腹直筋がポイントになります。
さらに細かくいうと右側腹直筋の外側にあるのが上行結腸になります。
下痢と同じくらい悩んでいる方が多い『便秘』についてはこちらの記事にまとめてありますので、ぜひご覧ください。
下痢に効く上行結腸のマッサージ法
膝を立てた状態で仰向けになります。この状態で頭を持ち上げると腹直筋が浮き上がると思います。
この右側の浮き上がりの外側に指を置きお腹の緊張を緩めます。その状態でゆっくりとお腹の中に指を入れていくと上行結腸を触れることができます。
指を入れたらそこで呼吸をしながら押している場所をほぐすように指圧して刺激を加えます。そうすることで上行結腸の動きが高まりやすくなり、大腸内での水分吸収を促すことができます。
下痢に効く上行結腸のストレッチ法
一つ目は上行結腸を左右にストレッチする方法についてお伝えします。
仰向けの状態で足を立て上行結腸の外側に指を置きます。
そうしたら足を右に倒しながら指は反対に左側に圧を加えるようにします。次に足を左に倒しながら指は右側に圧を加えるようにします。
そうすることで上行結腸を左右方向にストレッチすることができます。
二つ目は上行結腸の上下方向の滑走性を引き出すストレッチ法になります。
まず左手で右側腹直筋外側にある上行結腸に触れていきます。そうしたら右手を頭上に向かって持ち上げていきます。
このとき左手で触れている上行結腸を下方へ向かって引き下げるように圧を加えていきます。そうすることで上行結腸を上下方向へとストレッチすることができます。
三つ目は立位の方法になります。まず立位の状態で右手で腹直筋外側にある上行結腸を触れていきます。
次に右手で右腹直筋外側に触れた状態で上体を後ろに反らします。このとき右手は下側に向かって圧を加えるように意識することで上行結腸を上下にストレッチすることができます。
腸全体の動きを良くするマッサージ法
まず立った状態で骨盤を左右に円を描くようにまわしていきます。そうすることによって骨盤周囲の柔軟が高まり、腸の滑走性を高めることができます。この運動を左右10回ずつ行いましょう。
次に仰向けの状態で膝を抱え込んだ姿勢になります。この姿勢は腸内に溜まったガスを排出しやすくするための姿勢になります。
お腹が張りやすいという方はぜひこの姿勢をとってみましょう。目安は30秒から60秒程実施すると良いです。
またこの姿勢の状態で左右に身体を動かすことによってより腸に刺激を与えることができます。
次に腸の前面をストレッチする方法になります。
仰向けの状態でゆっくりと上体を起こしていき、お腹の前側がを伸ばします。この姿勢の状態でゆっくり息を吸いながら肋骨の開きを意識することでよりお腹の組織が伸ばされ腸の滑走性が高まりやすくなります。
最後に腸を捻じるストレッチの方法になります。
片側の足を胡坐の状態にしその膝上にもう一方の足の踵を引っかけます。このポジションをとることによって腸をしっかりと捻じりながらストレッチすることができます。この姿勢も30秒から60秒程キープして行いましょう。
最後に
患者さんの中には最近お腹が緩いと言われる方もいらっしゃると思います。そのようなときに上行結腸のリリースを行うことで徒手的なアプローチが可能となります。どうしても我々理学療法士は筋、筋膜の治療に偏りすぎますが、こういった知識も持ち合わせることで患者さんの細かなニーズに応えることができるようになります。
また今回ご紹介したマッサージはセルフマッサージの内容になっています。ぜひお腹が弱いという方は毎日の生活習慣にこのストレッチを取り入れてもらうととても下痢に対して良いと思います。
本日もご覧いただきありがとうございました。
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