はじめに
最近ピラティスがブームになってきており、健康志向や美容に対する意識が高まってきております。
私自身ピラティスを始めて約10年が経ちましたが、ピラティスは姿勢を整えたり、自身の身体に意識を細かく向けるのにとても適しています。
ピラティスのエクササイズの中で必ずレッスンの中で行うものの一つに『アブプレップ』があります。アブプレップは本来体幹筋のエクササイズになります。
しかし、アブプレップを行う際に首が痛いという人が比較的多くいます。首が痛くなる場合しっかりと体幹筋に効いておらず、何かしらのエラーが身体に生じているサインになります。

そこで今回はアブプレップにおける首が痛くなる原因についてお話ししたいと思います。
アブプレップとは
アブプレップはピラティスにおける腹筋群を強化し、体幹のコアを安定させるための基本的なエクササイズの一つです。この動きは、ピラティスの原則である『コアのコントロール』、『呼吸』、『正確な動き』を体現するもので初心者から上級者まで幅広く行われます。
アブプレップは腹筋を効果的に鍛えながら背骨の可動性を保ち、姿勢や体の安定性を向上させることを目的としています。
アブプレップのやり方
開始姿勢

マットに仰向けになり膝を曲げて足を平に置きます。(足はヒップ幅程度に開く)
背骨は自然なカーブ(ニューラルスパイン)を保ち、骨盤は安定させます。
両手は軽く身体の横に置きます。
動きの流れ

吸う:息を吸いながら胸を開き、肋骨を拡げる準備をします。
吐く:腹筋(特に腹横筋や内腹斜筋)を意識的に引き締め、背骨を軽くマットに押し付けながら頭と肩をゆっくり持ち上げます。肩甲骨の下部がマットからわずかに離れる程度まで上体を起こし、視線はお臍や膝の方向に向けます。
吸う:その位置でキープし呼吸を整えます。
吐く:ゆっくりと上体をマットに戻し、元の姿勢に戻ります。
ピラティスの基本原理についてこちらの記事にまとめていますので、ぜひあわせてご覧ください。
アブプレップのポイント
胸郭が安定することで身体の中枢部が安定します。中枢部が安定することで末梢にある頭部を安定して持ち上げることができます。

しかし、胸郭が安定していない状態で頭部を持ち上げようとすると頚部の筋肉に過剰に力を入れて持ち上げようとします。
そのため頭頚部を持ち上げるためにも中枢部の安定性を高め、それをコントロールできるようになることがとても重要になります。
アブプレップで首が痛くなる原因
肋骨が飛び出している
仰向けに寝た時に背面が地面から浮いている場合は肋骨が開き、胸郭が安定して地面に接地できていない可能性があります。

胸郭が安定して地面に着いていない状態をリブフレアといい、体幹筋が弱く肋骨をしっかりと締めることができない状態になっている可能性があります。すると頭頚部を持ち上げるときに体幹が安定しないことで頭頚部に無理に力が入り首が痛くなる原因となります。

肋骨の下部が外側に過剰に拡がった状態のことを指し、主に肋骨下角が90度以上の場合をいう。

肩がすくんでしまう
肩がすくんでしまう場合は肩甲骨の外転がうまく生じず肩甲骨が変わりに挙上してしまっています。このような状態になると頭頚部を持ち上げる際に首が短くなる様子がみて分かります。首が短くなると肩の僧帽筋上部線維に過剰に力が入り、首を痛める原因となります。

通常頭頚部を持ち上げるときは肩甲骨が外転することで脇にある前鋸筋に力が入ります。すると前鋸筋を介して外腹斜筋が収縮することで体幹が安定し頸部に負担をかけずに頭部を持ち上げることができます。


顎が上がってしまう
顎が上がってしまう場合は上位頸椎が上手く動かせていない可能性があります。顎が上がってしまうことで頸椎の屈曲が上手く生じず、体幹筋へのつながりが上手く作れなくなります。すると頚部の筋肉が過剰にはたらき、首に負担がかかりやすくなります。

頸椎は全部で7つあります。その中でアブプレップの際に頭頚部を持ち上げるときに重要になるのが『うなづき』になります。頭部を持ち上げる前に目線を下方へ移すことで顎が軽く引け上位頸椎の屈曲が生じます。
上位頸椎の屈曲がしっかり出ることでその後頭部を持ち上げる際に頸部前面筋にしっかりと力が入り、体幹との筋連結が高まりやすくなります。

頸椎は自然な前弯のカーブがあります。アブプレップの際に頭部を過度に前に出したり(フォワードヘッド)、逆に顎を強く引き過ぎると頸椎の自然なカーブが崩れ首に負担がかかります。特にC1ーC2は頚部の回旋や上下運動の動きに関与するため頭頚部を持ち上げるときはゆっくり顎を引き軽くうなづいた位置からコントロールして頭頚部を持ち上げることが重要になります。
最後に
みなさんいかがでしたか。
アブプレップは体幹筋を鍛えたい人がまずはじめに行うエクササイズの一つです。
そしてこのエクササイズがさまざまなエクササイズの基本となる動きのため、このアブプレップがうまくできないとその先にある難度の高いエクササイズにチャレンジすることが難しくなります。
今回の記事を読んでまずは基本のやり方をしっかりと身につけ徐々に難易度を上げながらピラティスを楽しんでもらえたらと思います。