「理学療法士が教える/マシンピラティスで反り腰・骨盤前傾を改善する方法」

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【最終更新日:2025年11月3日】

はじめに

鏡を見ると腰が反ってお腹が前に出て見える、長時間立っていると腰が痛くなる——。

そんな悩みを抱えていませんか?

その原因の多くは「骨盤前傾(こつばんぜんけい)」と呼ばれる骨盤の傾きです。

骨盤が前に傾くことで背骨が反り、腰椎が過剰に伸びてしまう状態。これがいわゆる「反り腰」です。

反り腰は見た目だけでなく、腰痛や股関節の不調、姿勢の崩れ、疲労感などさまざまなトラブルを引き起こします。

そこで身体を整えるのに最近とても流行っているものの一つに【マシンピラティス】があります。

私自身理学療法士とピラティスインストラクターとして普段仕事をしており、反り腰解消のためによくこのマシンピラティスを使っています。

マシンを使うことによって運動が苦手な方でもエクササイズの動きをより理解しやすくなり、目的の筋肉に刺激が入りやすくなるといったメリットがあります。

この記事では、理学療法士でありピラティスインストラクターでもある筆者が、マシンピラティスを使った反り腰・骨盤前傾の改善方法をわかりやすく解説します。

反り腰・骨盤前傾とは?体のメカニズムを理解しよう

骨盤前傾とは

骨盤が前に倒れるように傾く状態を「骨盤前傾」といいます。

このとき、骨盤の前側(ASIS)が後側(PSIS)よりも下がり、腰のカーブ(腰椎前弯)が強くなります。

通常骨盤の良い位置とされているのが

ASISがPSISよりも2横指下にある位置とされています。

しかし、反り腰になるとASISがPSISの位置よりも2横指以上下に位置してしまう状態となります。

骨盤前傾が起こる主な原因は以下の通りです。

股関節の前側(腸腰筋・大腿直筋など)の硬さ

臀筋やハムストリングスなどの筋力低下

長時間座る・立つなど、同じ姿勢が続く生活習慣

背中や腰を「まっすぐにしよう」と頑張りすぎる姿勢意識

特にデスクワークや立ち仕事の多い現代人にとって、骨盤前傾はとても起こりやすい姿勢不良です。

腰椎過伸展との関係

骨盤が前に傾くと、その上にある腰椎(腰の背骨)は自然と反る方向に動きます。

腰椎の過伸展とは腰椎が過剰に前に反った状態を指します。通常腰椎は5つの椎体から構成されており、適切な位置は腰椎の3番目が反っている頂点に位置していると良いとされています。

しかし、腰椎が過剰に反ってしまうとこの3番目の頂点の位置が崩れ、4番目や5番目の椎体が反っている頂点に位置してしまいます。

これを「腰椎過伸展(ようついかしんてん)」といい、腰の筋肉が過剰に緊張し、背中やお尻のハリ感を強く感じるようになります。

つまり「骨盤前傾」と「腰椎過伸展」はセットで起こりやすく、これが“反り腰姿勢”をつくる仕組みです。

反り腰による影響

腰痛・背中の張り・脚のむくみ お腹が前に出て見える・お尻が突き出す 体幹の安定性が低下し、動作時に腰へ負担がかかる・股関節・膝関節のバランスが崩れ、脚のラインが乱れる

ピラティスでは、こうした“骨盤と背骨の連動性の乱れ”を整えることを目的としています。

反り腰を解消するポイント

マシンピラティスを使って反り腰を解消するためには骨盤の後傾腰椎の屈曲を引き出すことが重要になります。

反り腰を解消するためには股関節の柔軟性もとても重要になります。反り腰を解消するための股関節のストレッチの方法はこちらにまとめていますので、ぜひこちらの記事もあわせてご覧ください。

骨盤後傾と腰椎の屈曲

骨盤の後傾とは骨盤が後方へと傾く動きをいいます。骨盤が後傾することでその上にある腰椎も連動して丸くなるように動きます。そのため、反り腰の人は腰椎が丸くなりにくいため骨盤の後傾を促しながら腰椎の丸くなる動きを引き出すことがとても大切になります。

腰椎と骨盤の動きを引き出す動きにキャットカウというエクササイズがあります。

まず四つ這いになります。このとき手でしっかりと地面を押す意識を持つことで肩甲骨が安定し体幹に力が入りやすくなります。

次にみぞおちを天井に向かって引き上げるようなイメージで背骨を丸くしていきます。また同時に尾骨を地面に向かって傾けるように意識をすることで骨盤が後傾し、それと連動して腰椎が屈曲しやすくなります。

この動きをマシンピラティスの前に準備運動として行っておくことで、よりエクササイズの動きが引き出しやすくなります。

キャットカウがうまくなるためのポイントについてはこちらの記事にまとめていますので、ぜひこちらの記事もご覧ください。

なぜ「マシンピラティス」が反り腰改善に有効なのか

ピラティスには「マットピラティス」と「マシンピラティス」があります。

中でもマシンピラティスは、反り腰のような姿勢のクセを修正するのに非常に適しています。

理由1:動きを“誘導”してくれる

リフォーマーやキャデラックなどのピラティスマシンは、スプリング(バネ)によって身体の動きをサポートします。

これにより、反り腰の人でも無理なく「骨盤の後傾」や「背骨の丸め動作」を体感しやすくなります。

理由2:筋肉のバランスを整えやすい

マシンピラティスは、使いたい筋肉を正しく使わせるように設計されています。

特に反り腰では、弱くなりやすい「腹部(腹横筋)」や「殿筋(でんきん)」を安全に強化できる点が大きなメリットです。

理由3:安全かつ正確な動きが身につく

マシンが身体を支えてくれるため、腰や股関節への負担を軽減しつつ、正しい姿勢感覚を学べます。

初心者でも安心して実践でき、動作を繰り返すうちに自然と正しい姿勢へ導かれます。

反り腰を解消するおすすめマシン

それでは今回はマシンピラティスの中でもリフォーマーキャデラックというマシンを使った反り腰解消エクササイズをご紹介したいと思います。

キャデラックを使って反り腰解消

まずキャデラックの上に仰向けに上になりプッシュスルーバーに足をかけていきます。このときしっかりと腰が反らないようにお腹を薄くするイメージを持ちながら腰部を地面に重たく接地させておくイメージを持ちます。

次に足を伸ばしながらバーを上方へと押し出していきます。このとき、下半身の後面の筋肉をイメージしながら足を伸ばすことによってハムストリングスや殿筋群に力が入り、よりお腹に刺激が入りやすくなります。

私はこのエクササイズを行うときはもも裏から伸ばすようにいつもクライアントにキューイングをだしながら誘導しています。

足が伸びてきたらゆっくりと臀部→腰部→背部(肩甲骨の高さまで)の順で地面から持ち上げていきます。このとき足の伸びを背骨に伝えるようなイメージで身体を動かすことによってより動作が綺麗に行えるようになります。

背骨がしっかりと持ち上がったら次に背部→腰部→臀部の順に地面に背骨を下ろしていきます。

私はこの時、背骨を上から下に向かって一つずつゆっくりと地面に下ろすようにキューイングをいつもだすようにしています。

このときの動きが下腹部のコントロールや腰椎の柔軟性を高めるのにとても重要となります。そのため、反り腰解消のための最も重要なタイミングがこの時になります。

背骨が地面についたら最後足を曲げながらバーを下に向かって引き下げます。この一連の動きをゆっくり練習していきます。

効果

・腹横筋、ハムストリングス、殿筋の連動強化

・骨盤後傾の感覚を習得

・腰椎過伸展の抑制

リフォーマーを使って反り腰解消

まずリフォーマーのフットバーに手を置き、ショルダーレストに足を引っかけ腕立て伏せのポジションにります。このとき反り腰の方はお腹が地面に下がり過ぎてしまう傾向があるため、しっかりと地面を下に向かって足で押し頭からつま先まで一直線になるように姿勢を意識します。

身体が一直線になったらそこから足を頭側に向かって引き寄せそのタイミングで下腹部を天井に向かって引き上げていきます。

すると下腹部に力を入れながら腰椎を丸くすることができます。この動きはリフォーマー特有の地面が上下にスライドする動きを利用することによって可能となります。そのため、マシンを使うことによって効率的に脊柱の動きを引き出すことができます。

効果

・体幹深部(腹横筋・多裂筋)の安定化

・骨盤ニュートラルポジションの習得

・腰部への負担軽減

自宅でやる場合はこちらの商品がリフォーマーとキャデラックの機能を合わせ持ったマシンでさらに比較的コストも抑えられるためおすすめな商品になります。

よくある質問Q&A

Q1. マシンがないとできませんか?

A. 家ではマットピラティスで代用可能です。キャットカウやヒップリフト、ペルビックカールなどを行いましょう。

Q2. 腰が痛いときでも大丈夫?

A. 痛みが強い場合は中止してください。理学療法士やピラティス指導者のもとでフォームを確認するのが安全です。

Q3. 効果が出るまでどれくらいかかる?

A. 週2〜3回のペースで2〜4週間ほど行うと、腰の張りや姿勢の変化を感じる方が多いです。

日常で意識したいポイント

立つときは「お尻の穴を軽く締める」ようにして骨盤を立てるようにしましょう。 座るときは「坐骨で座る」ことを意識し背中を反らしすぎないようにすることが大切です。スマホ操作時は顎を引き、腰を反らさない姿勢をキープします。 毎日の短時間エクササイズでも“意識づけ”が大切になります。

まとめ:反り腰改善の第一歩を今日から

反り腰は「体が硬い」「姿勢が悪い」だけの問題ではなく、

骨盤と背骨の連動性が崩れた結果として現れる姿勢です。

マシンピラティスは、スプリングのサポートにより正しい動きを体で学べるため、

自分の癖を修正しながら、安全に反り腰を改善できます。

焦らず、週に2〜3回のペースで継続することで、

腰の違和感が軽くなり、立ち姿もスッと美しく整っていきます。

「腰を反らさない」ではなく、「骨盤と背骨を正しく使う」意識こそが改善のカギ。

今日から少しずつ、自分の体と向き合っていきましょう。

理学療法士として回復期病院6年、整形外科クリニック8年勤務し、日々多くの方のリハビリや身体の不調に向き合ってきました。

その中で「予防・セルフケア」の大切さを実感し、STOTT  PILATES認定Fullインストラクターの資格を取得し理学療法士をしながらピラティスインストラクターとしても9年活動しております。

今では内臓ストレッチマスタートレーナー、BODY  CONTROL  PILATES認定産前・産後インストラクター、pifilAtes認定インストラクターとしても活動し身体の内側から整えるケアもお伝えしております。

このブログは医療とピラティス両方の視点から『身体が変わるヒント』をお届けしています。

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