はじめに
「レントゲンでは異常なしと言われたのに腰が痛い」
「マッサージを受けると一時的には楽になるが、すぐ元に戻る」
私は理学療法士として14年以上、病院や臨床現場で数多くの腰痛患者さんと向き合ってきました。
その中で強く感じてきたのは、**腰痛の多くは“構造の問題”ではなく“使い方の問題”**だということです。

そして現在、ピラティス指導を行う中で確信しているのが
腰痛改善においてピラティスは非常に理にかなった運動療法であるという事実です。
この記事では、
✔ 理学療法士の視点
✔ 医学的な腰痛の考え方
✔ ピラティスが腰痛に有効な理由
を分かりやすく解説します。
腰痛の約85%は「原因不明」と言われる理由
整形外科の現場では、腰痛の約85%が
**「非特異的腰痛(原因が特定できない腰痛)」**に分類されます。

これは決して「何も問題がない」という意味ではありません。
多くの場合、
骨に異常はない 神経の圧迫もない でも動かすと痛い
という状態です。
この背景にあるのが、
姿勢・動作・筋肉の使い方のクセです。
理学療法士として評価をすると、腰痛のある方の多くに共通して次の特徴が見られます。
腰だけが過剰に動いている
股関節や胸椎がうまく使えていない
体幹が「固める」か「抜ける」かの二択
呼吸が浅い
これらはレントゲンには写りません。
なぜストレッチや筋トレだけでは腰痛が改善しにくいのか
腰痛対策としてよく行われるのが、
腰を伸ばすストレッチ 腹筋・背筋の筋トレ プランクなどの体幹トレーニング
ですが、これだけで改善しない人が多いのも事実です。
理由はシンプルで、
「どこをどう使うか」が抜け落ちているからです。
例えば腹筋トレーニングでも、
表面の腹筋だけが働く 呼吸が止まる 腰が反ってしまう
こうした状態では、むしろ腰に負担がかかります。
腰痛改善に必要なのは、
**筋力そのものよりも“コントロール能力”**です。
理学療法士の視点から見たピラティスの強み
ピラティスはもともと、
負傷兵のリハビリとして考案されたエクササイズです。
理学療法士の立場から見て、腰痛に対してピラティスが優れている点は次の通りです。
① インナーマッスルを「使える状態」にする
腰痛のある方は、
腹横筋
多裂筋
骨盤底筋
横隔膜

といったインナーユニットがうまく連動していません。
ピラティスでは呼吸と動きを組み合わせることで、
これらの筋肉を無意識レベルで再教育していきます。
② 腰ではなく「全身」で動く感覚が身につく
腰痛は腰そのものよりも、
股関節が動かない
背骨が分節的に動かない
といった代償動作が原因になっていることが多くあります。
ピラティスは、
「腰を守りながら、腰に頼らない動き」を学べる点が大きな特徴です。
③ 痛みを悪化させにくい
勢いのある運動や過度な負荷は、腰痛を悪化させることがあります。
ピラティスは
可動域
負荷
スピード
を細かく調整できるため、
慢性腰痛や運動が苦手な方にも安全に行えます。
実際に多い「ピラティスで腰痛が改善したケース」
私のスタジオに来られる方で特に多いのが、
デスクワーク中心の慢性腰痛
出産後から続く腰痛
運動不足による違和感レベルの腰痛
こうした方々に共通しているのは、
**「腰を治そうとして腰ばかりを触ってきた」**という点です。
ピラティスを通して、
呼吸が深くなる
立ち姿勢が変わる
歩くときの感覚が変わる
こうした変化が先に起こり、
結果として腰痛が軽減していくケースがほとんどです。
④腰に負担をかけずに動作を再教育できる
ピラティスは
仰向け
横向き
四つ這い
など、腰に負担の少ない姿勢から始められます。
そのため、
✔ 痛みが強い方
✔ 運動が苦手な方
でも安心して取り組むことができます。
腰痛のある人こそ「専門家の指導」が重要な理由
YouTubeやSNSには、
「腰痛改善エクササイズ」が数多くあります。
しかし腰痛の原因は人それぞれ異なります。
反ると痛い人
曲げると痛い人
動き始めが痛い人
これを一括りに同じ運動を行うのはリスクがあります。
理学療法士としての評価視点を持ったピラティス指導は、
医療と運動の橋渡しができる点が最大の強みです。
腰痛を軽減するためのインナーマッスルの意識するポイント
それではエクササイズを通してインナーマッスルを意識するポイントについてお伝えしたいと思います。
①ブレージング
まず一つ目がブレージングになります。ブレージングの目的は呼吸により腹圧を高めることにあります。
この腹圧を高めることで体幹が安定しやすくなり、腰部の負担を軽減することにつながります。
まずブレージングにより胸郭の動きを意識しながら呼吸をします。吸気の時は下部肋骨をしっかりと開き、呼気の時は下部肋骨をしっかりと閉じる意識をもち呼吸をします。
このとき、肩に力が入ったり、お腹を過剰に膨らませたりしないように行います。


呼吸によって下部肋骨がしっかりと動くことで腹圧が高まりお腹が凹のような形状になれば腹圧がしっかりと高まっているサインになります。

②レッグリフト(膝に物を挟む)
次に腹圧が入った状態で足を持ち上げるレッグリフトの練習を行います。
仰向けの状態で呼吸をしながら腹圧を高めます。

次に腹圧を維持したまま足を持ち上げていきます。はじめは足を上げる際に腹圧が抜けてしまいやすいため、何か膝に挟んだ状態で練習をするととても良いと思います。
膝に物を挟むことで内ももにある内転筋群に力が入り、体幹が安定しやすくなります。


このように腹圧をコントロールすることができるようになることで普段から体幹機能が安定し腰部の負担を軽減することができます。
私が膝に挟んでいるものはメリシュー製のフィットネスサークルになります。

こちらの商品は手で持ったり、足に挟みやすいように凹型の持つ部分があり身体にフィットしやすい形状になっています。

また、特にメリシュー製のフィットネスサークルは頑丈なのに軽くとても体になじみやすいのが特徴になります。ぜひ一つご自宅に用意するといろいろなエクササイズに活動できるためおすすめです。
ピラティスによって体幹を安定させる方法についてはこちらの記事に詳しくまとめていますのでぜひあわせてご覧ください。
③ロールダウン
3つ目がロールダウンというエクササイズになります。ロールダウンは背骨の分節的な動きを意識するのにとてもおすすめなエクササイズになります。
背骨の分節的な動きを作ることでインナーマッスルを活動を活性化することができます。
まず立位になります。その状態からゆっくりと頭部から尾側に向かって背骨を一つずつ動かしながら前屈をしていきます。そして前屈した後は尾側から頭部にかけて一つずつ背骨を起こしながら立位の状態に戻っていきます。




まとめ|腰痛改善に必要なのは「正しく動ける体」
腰痛を改善するために本当に必要なのは、
✔ 強い筋肉
✔ 無理なストレッチ
ではありません。
✔ 正しい呼吸
✔ 適切な姿勢
✔ 必要なところが必要な分だけ働く体
これを身につけるための手段として、
ピラティスは非常に有効です。
もしあなたが、
長年腰痛に悩んでいる 病院では異常なしと言われた 運動に不安がある
そう感じているなら、
理学療法士の視点で行うピラティスを一度体験してみてください。
